榎本家の美女【あなたの番です】 (ページ35)

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第33話ページ35

ひと口と言わずに何口でもどうぞと神谷さんに綿菓子の袋を渡す。遠慮しながらも食べる彼の姿に可愛いななんて思ったりして、神谷さんの顔を見た

『あ…口元に綿菓子付いてますよ』

神「ここですか?」

『違う違う、こっちです……取れましたよ?ん…美味しい』

神「え…」

彼の口元に付いた綿菓子を取り、そのまま自分の口に運んだ。うん、綿菓子美味しいなぁと思ってると神谷さんがポカーンとした様子で私を見てくる。

『私、何かしましたか…?』

神「…いや、それ誰にでもやるんですか…?」

『それというのは?』

神「……気付いてないんですか」

気付いてない?なんだろうと…思い返してみる。……あ。私何してんの?!顔が熱くなってくる

『あ…あぁ…!ごめんなさいごめんなさい!電車の時といい変なことばっかりして本当にごめんなさい!』

神「いえ。…そういうこと俺以外にしないでください」

『は、はい……ん?』

神「あぁ…いや。すいません、今のは忘れてください」

顔を逸らしそろそろ帰りますかと提案する神谷さん。忘れられる事とか出来ないなぁと思いつつ祭り会場から近い最寄り駅まで会話をすること無く歩く

神「……タクシーで帰りますか」

『え…』

神「…行きましょう」

私の返事を聞かずにタクシー乗り場まで私の手を引きタクシーへ乗り込む神谷さん。その隣に座る。

神「すみだ署までお願いします」

「はい、かしこまりました」

タクシーに揺られながら15分程。
すみだ署へ着く。結局タクシー代も神谷さんが出してくれてお礼を言って帰ろうとしていたところ、引き止められて車で送って行くと言われた

『すみません、神谷さん…気を遣わせてしまって…』

神「気にしないでください。俺が満員電車嫌いなだけなんで」

『は、はぁ…』

神「……祭り楽しかったです」

赤信号で止まると同時に助手席に座ってる私の頭に手を置いて軽く微笑んでくれる。それにつられ私も微笑む

『…私も楽しかったです、また一緒に行きたいです』

神「……俺でいいなら」

『やった…!じゃあ約束…ですね』

神「えぇ」

指切りげんまんをして丁度信号が変わったところで車を動かし20分程でマンショ前へ着いた