涙のときは。 (ページ2)

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ここにいないページ2

壁外調査の帰り道。

今日も何の成果も得られなかった。

だが、得たものがないわけではない。

「帰ったら、ハンジに一度そのオオカミを引き渡せ。報告もするように。」

なんだかんだ言って、エルヴィンもこの瀕死のオオカミを心配しているらしい。

「ああ。」

俺が責任を持って介護するという条件でオオカミの命を助けることを許可してくれたエルヴィン。

なぜこんなにもオオカミを助けたかったのかは、

俺にもわからない。

ただ、自分に少し似ているような気がした。

ハエの集っているこのオオカミを担いで、ハンジのいるだろう部屋に連れて行く。

呼吸による小さな胸の膨らみは感じられた。

「おいハンジ！今すぐこいつの看病をしろ！」

ハンジの部屋に入ったと同時に怒鳴った俺に、
見ていた分厚い図鑑のようなものを閉じて、こちらに近づいてくるハンジは、

こいつを見て、驚いた顔をした。

「早くその子をこの台に乗せるんだ！」

ハンジの慌てように、もう時間の問題なのかもしれないと気づき、俺は慌てて台にオオカミを乗せた。

ハンジはこいつに麻酔を刺した。

ついでに、身体中のノミやダニ、すり傷程度の軽いもんだが、手当もした。