ダメ34 ページ40
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「どうして欲しい……か…、」
私の目を見ているようで、どこか遠くを見つめているような目線に相変わらず腹が立つ
ごめんけど何をされても腹が立つ
その内心に気づかれないように 私はジッと真顔で鬼舞辻の顔を見つめた
ずっと黙り込んでいた鬼舞辻だったが、私が真顔苦手で不謹慎にもニヤけそうになった時に
閉じていた口をゆっくりと開いた
「………少し、昔話でも話してやろう、A」
そう言われて思わず 「は?急に? 」と声が出そうになる
だけれど無意識に眉が引きつっていたのか鬼舞辻は私の顔を見て小さく笑った
こいつ人の顔みて笑うとか本当に教育がなってなくね
「お前は私の許嫁だった。はるか昔の話だがな」
『え"っ……』
驚きで頭で考えるより先に濁音付きのえが口から出てしまった私を、1ミリ足りとも構うまいとでもいうように喋り続けた
「体が弱い私にはなかなか婚約相手が現れず苦労していたところに出てきたのがお前だった」
「お前は馬鹿で阿呆だと有名な奴で、女らしくないと婚約相手がなかなか見つからんと聞いていた。はは、つまりお互い余り物同士ということだ」
「私は生きる事に必死で女などどうでも良かったのだがな………
貴様という奴は、人をどこか魅力する才には今も昔も長けていてなぁ、関わるほど私はその馬鹿さに何故か惹かれたものだ。実に度し難い」
「………だがどうだ。貴様は、私に愛を向けたと思うか…?」
『あグッ』
鬼舞辻の目付きが急に変わったと察した時には
物凄い勢いで私の首に手を当て、グッと絞めつけた。
突然のこと過ぎて口がだらしなく空いたままだったので涎が止まらない
おかげで鬼舞辻の手はダラダラだ。
何時もだったら 汚い とでも言って放り投げるところが今日は違う
それでさえも愛しく見つめるようなその視線に私は悪寒した
気色悪い、なんだコイツ。
「貴様には…、どうやら隠れた想い人が居た。そいつは私より貧相で 意思も弱く 欠点ばかりのだらしのない人間だ。」
「婚約しても尚、私の向こうにそいつを思い浮かべる貴様を見て私は怒りで吐きそうだった。力を手に入れたのならば、真っ先に殺すのはそいつだと決めていたッ!」
昔話を淡々と話すうちに声は大きくなり、私の首に入る力も強くなる。
私を殺す気は無いと分かっていても私の体は近々の死を悟っていた
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m - 初コメント失礼します。鬼舞辻推しとしては素晴らしい作品だなと思いました。そして、夢主ちゃんが泣き虫な点もこの作品の良いところだと思いました。これからも、作者様が明るい気持ちでこの作品に戻って来てくださることを願い、応援しております。 (2023年2月19日 1時) (レス) @page45 id: 6abbe396c0 (このIDを非表示/違反報告)
らいむ - 不死川さんオチを恵んで・・・ください・・・ バタ(倒れた) (2022年12月29日 15時) (レス) @page45 id: 7852438752 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - 途中で終わっていて寂しいですてんまた更新されるのを楽しみにしてます (2022年8月6日 21時) (レス) @page45 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
thmrt1214(プロフ) - お話が更新されていて、とても嬉しいです! (2021年11月18日 12時) (レス) id: 92e3ef3143 (このIDを非表示/違反報告)
こたちゃん信者(プロフ) - むいくん、小芭内、天元様のオチを見てみたいです! (2021年8月18日 15時) (レス) id: 74c0c321e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2019年8月10日 20時