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ダメ17 ページ17







「俺は、鬼が憎い。」




『…、あ』




「でもそれが今Aさんを殺す理由にはならない」




「だから、そんなに怯えないで」




『………え』





人にこんなに優しい目を向けられたのは初めてだった
まるで、鬼じゃなくて人に向ける目線のようだった

びっくりした。この子はどれだけ優しい子なんだろうって
鬼が憎いなら今私をここで殺せばいいのに
そうするべきなんだろうに


そうしないのは私に情けをかけているからだろうか
それとも何か他にあるのだろうか





『でも、なんで。鬼が憎いならここで私を切るべきだと思うよ』




こんなこと自分で言っておいて
心の中では 死にたくない とは思う自分が矛盾していて気持ち悪い、誰かに言われた通り図々しい

この子に何を期待しているんだよ、私は




「Aさんは人を食べていない」



『そ、そんなの分からんでしょうが』



「分かる。俺は鼻がいいから、匂いでわかる」




え、匂いで!?とちょっと馬鹿な自分がツッコミに入りそうになったが流石にやめた

そんな雰囲気じゃない。




「Aさんが弱いのがその証明じゃないか」




『ちょ、ちょっと傷つく…』




そう言うと ご、ごめんなさい!とあたふた慌てて私に謝るもんだから
本当にいい子だ

ここまで素直だと、調子が狂うというか、なんというか。




「きっとAさんは鬼になりたくてなったんじゃない。」



「皆はAさんのことを可哀想な鬼とか、弱い鬼とか言うけど」



「俺はそうは思えない」



「その弱さは人間らしくありたいという強い思いから来てるもので」



「生に一生懸命にすがるAさんは惨めな鬼でも可哀想な鬼でもない」



「立派な"人"だ」




『……』




「だから俺はAさんを斬らない。」




『…ッヒ、グスッ、ヴェ』




「え、え!?Aさん!!?」




こんなこと言われたの初めてだった。
人からこんなこと言われるとは思ってなかった

鬼になる前のことはあんまり覚えてないけど

多分私の事だから変なドジでもやらかしてしまったんだろうよ。それで鬼になってさ、

人間の意識は強いと言っても鬼は鬼だから家族には見放されるし

鬼にも軽蔑されて 鬼になりきれない私を可哀想と言う。



それでも私は人でありたかったけど

誰一人それを認めてはくれなかった
認めてくれるはずはなかった


けど目の前のこの子は 、私がずっとずっと求めていた言葉を、言ってくれたじゃないか。

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m - 初コメント失礼します。鬼舞辻推しとしては素晴らしい作品だなと思いました。そして、夢主ちゃんが泣き虫な点もこの作品の良いところだと思いました。これからも、作者様が明るい気持ちでこの作品に戻って来てくださることを願い、応援しております。 (2023年2月19日 1時) (レス) @page45 id: 6abbe396c0 (このIDを非表示/違反報告)
らいむ - 不死川さんオチを恵んで・・・ください・・・  バタ(倒れた) (2022年12月29日 15時) (レス) @page45 id: 7852438752 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - 途中で終わっていて寂しいですてんまた更新されるのを楽しみにしてます (2022年8月6日 21時) (レス) @page45 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
thmrt1214(プロフ) - お話が更新されていて、とても嬉しいです! (2021年11月18日 12時) (レス) id: 92e3ef3143 (このIDを非表示/違反報告)
こたちゃん信者(プロフ) - むいくん、小芭内、天元様のオチを見てみたいです! (2021年8月18日 15時) (レス) id: 74c0c321e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜花 | 作成日時:2019年8月10日 20時

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