百十九話 ページ20
こんにちは、隠の宮里です。
昨晩、私のお仕えする獅子柱の新堂A様が下弦の鬼の討伐へ向かわれました。
鬼殺隊の一員である私も十二鬼月とはどれ程の強さなのかは理解していますので、それはもう不安で仕方ありませんでした。
「どうかお怪我などなければよろしいのですが…」
お帰りになられた際に清潔なお布団でお休みいただけるように青空の元シーツのお洗濯をしていた時のことでした。
『宮里さぁぁぁん!!』
「っきゃぁ!?」
背後で物凄い音がしたと思えばA様がお空から降ってきたようです。ニコニコとしたA様が勢いよく飛びついてきました。
『宮里さん、お引越しの準備をしましょう!』
「お、おかえりなさいませ…お怪我は?」
『へへ、焦っちゃいました。このとおりピンピンしてます』
両手をパッと広げて無事を示す姿を見せてくださいました。
『あのね宮里さん、実弥が一緒に暮らさないかって…』
さっきまでの元気はどこへ行ったのやら、急に乙女の顔をしてそう言ったA様はどこにでもいる年頃の娘でした。
「あら、それは急がねばなりません。確か今日と明日は非番でしたね。その間に手続きなども行いましょう」
『助かります!』
A様はそう言うと、履物を脱ぎ捨てドタバタと自室へ走って行かれました。
「ふふ…忙しくなりそうですね」
『やっと終わりましたね、お疲れ様です』
A様が引越し宣言をされてから2日。
無事用意が済み、今は2人でお茶をしております。
『ここも随分思い出が詰まってますね、寂しいです』
「ふふ、そうですね。柱になられてからずっとここに暮らされていましたからね」
仕事柄私物も多く持たず、生活感のない御屋敷でしたが、私とA様の思い出がたっぷり詰まった場所です。
『昨日お館様とお話したら、ここは残してくださるそうです。寂しくなったら2人で遊びに来ましょうね!』
「…A様、なんだかよく笑うようになりましたね」
『そうですか?』
「はい。柱になられたばかりはそれはもう心を開いていただくのに必死でしたよ。きっと恋したおかげですね」
『ふふ、実弥のおかげでもあるけど、宮里さんが献身的に仕えてくれたからです。いい機会だし、言わせてください』
お茶を置いてこちらを向いたA様。
『いつもありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします』
丁寧に頭を下げたA様の表情はそれはもう晴れやかで、思わず涙ぐんでしまったのは内緒です。
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パチ麻呂(プロフ) - snowさん» コメントありがとうございます。最後の部分は個人的にこだわっていたシーンなので嬉しいです!続編の方も楽しんで頂けたら嬉しいです! (2020年11月8日 16時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
snow - パチ麻呂様!とりあえずお疲れ様でございました!もうすごく感動的というか、画面の前で号泣してしまいました。ありがとうございました。高評価して、続編に飛んでいきます!これからも応援してます! (2020年10月28日 22時) (レス) id: 6289ae6079 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - お返事ありがとうございます!性癖っていうんですかw続編も見させて頂いてます!これからもよろしくお願いします(*'ω') (2020年6月22日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - みーささん» うわわ(;_;) すっごく嬉しいです、、!こういうオチが性癖なので受け入れていただけるのは本当にありがたいです(( 続編でも当作品よろしくお願い致します! (2020年6月16日 1時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - コメント失礼します。どストライクな作品でもう号泣しました(TT)ありがとうございました!! (2020年6月15日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)
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