十七躍 人の変わり様は最高に恐ろしい ページ17
「……そう言う事だったアルカ」
全てを話し終えた沖田は気だるげにため息を零す。
「…まあ、昔も今も誰かに恐れられてる事は変わらねェから。今更周りに本性隠す事ァしねェ」
「じゃあそう思ってたなら何で私には隠してたアルカ?…いちいち高杉に口封じする程、私には教えたくなかったのカ?」
「…どうしてなのか今も俺ァ分からねェや」
沖田は神楽から目を逸らし、窓に映る青空を眺めた。その目は何かを抱え悩む少年の目だった。
「…でも、これだけは言える。あの時、初めて他人に俺の本性を知られたくないと思った。お前に恐れられるのが怖かった。お前が俺から離れていくのが怖かった…」
沖田は「なぁ…」と声を出し、もう一度神楽をその緋色の瞳に映す。
「俺の本性知って、俺が怖くなったか?」
神楽を捉えるその目は少し怯えているように見えた。それはいつものドSでムカつく好敵手の彼からは想像出来ないものだった。
それが何だか意外で、ああ、コイツも普通のガキ何だなって感じてきた。
「怖いわけないダロ。お前の本性って言ったってそれもお前と言う名の"沖田総悟(バカ)"だからナ。それもお前の一部ダロ?なら、私はさっきお前の新しい一面を知った。…それで良いんじゃないアルカ?」
「チャイナ…」
「さっきも言ったダロ?もう隠さなくてもイイ、もう嘘つかなくてイイって。お前は私の前で素直でいればいんだヨ。…それが一番楽ダロ?」
神楽はこれ以上ない程沖田を優しい目で見つめていた。彼もそんな彼女の瞳に捉えられ、これ以上ない程安らぎに満ちた目をしたのだった。
「…ああ。楽が一番だな」
沖田は再び窓に映る青空を眺めた。
その目はやっと抱えていた荷物を下ろせた少年の目をしていた。
「……ありがとな、カグーラ・ジャスアント」
「死ね」
****
あの日から数日が経った。
相変わらず沖田と神楽は喧嘩がたえない。だが、あれから少し二人の間は縮まった。
下校中の現在、神威と信女、高杉、また子は前を仲良く歩いている二人を信じられないという目で見つめていた。
「…人ってあんな変わっちゃうモンなの?」
「あの二人があんな風に歩いてるなんて……、夢でも見てるのかしら私」
「いや、残念ながら現実ッス」
「……(そろばん解文黙読)」
神威がそんな二人に聞こえないようにそっと三人に話しかける。
「最近神楽、家で総悟の話ばっかするようになったんだよ‼前は時々憎まれ口言ってただけなのに」
「……人って怖い」
十八躍 放課後のLINEは友情が深まるらしい→←十六躍 再現ドラマは失敗に終わる
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白玉(プロフ) - 面白すぎる..さすがプリン!!ww (2017年10月1日 8時) (レス) id: d7b0293ef7 (このIDを非表示/違反報告)
プリンちゃま(別垢)(プロフ) - みかんさん» みかんさん、ありがとうございます!『面白い』と評価して下さってマジで嬉しいです!!これからも応援ヨロシクお願いします★ (2017年4月8日 20時) (レス) id: 5afe51ca08 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです!沖田と神楽の所が特に面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2017年4月8日 19時) (レス) id: 7cb491045b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年3月31日 18時