十二躍 去年の秋の話 4 ページ12
神威と信女がこっそり帰った事など知る由もなく三人は周りの視線を浴びるも会話らしきものは続けていた。
すっかり沖田の拷問に怯えている黒尽くめの男は顔を青くし、沖田よりも長身な筈がすっかり縮こまって沖田に見下ろされる状態だ。
「さっさと白状しなせィ。俺ァはっきり言ってアンタみたいな一般人に怯える強盗犯相手する程暇じゃねェんでさァ」
「…は?沖田お前ェ一般人だったのか?」
なぜかそこに食いついてきた高杉に沖田は青筋を浮かべた。
「テメェにだけは言われたくねェ…。つか、そろばん解文開いてどんなところにツッコんでんだ」
「俺ァただ壊すだけだ、この見てて素通りしたくなる沖田の拷問タイムを」
「軽くこの人引いてるからやめろ高杉。つか素通りしたいなら今すぐ素通りして帰れ」
沖田は高杉の相手するのが面倒になり軽くあしらうが、彼は「まあ待てよ」と男に近づく。
「テメェ勹狼のトコのだろ?アイツは色々俺なんかより大胆な事してるからな。テメェがこんなアホな事してるのがバレたら即退学、そして警察行きだが。アイツも、テメェも」
「なっ!そんな事できるわけ…「試してみるか?」…っ!?」
高杉が妖しく笑うと、男は「ひっ…!」と床に崩れ落ちた。
それに畳みかけるように沖田が口を開く。
「このまま黙ってンならどうなるか分かってんだろうな?さっさとその女モンの財布、あそこにいるご婦人に返してきたら良いだけの話でィ」
「っ!?」
沖田の言葉に男が後ろを振り返ると、そこには幼い男の子を連れた若い女性が息を切らし男を睨みつけていた。
「やっと見つけたわ…!それを今すぐ返して‼それがなかったら…、この子に安心させて育てていけないのよ!!!」
女性は言葉の最後尾は涙声になりながらも必死に男に訴えた。
男は暫く沈黙していた。そしていきなり女性の方に奪ったのであろう財布を投げつけた。
「…っこれでいいんだろ!!」
「やればできるじゃねェか」
沖田は男に歩み寄ると見下ろしながらそう言った。
だが、歩み寄った事が新たなトラブルを生んだ。
男は余裕たっぷりな隙を狙い、沖田の手に持っていた紙袋を奪ったのである。
その紙袋の中身は誕生日に神楽へプレゼントする洋服であった。
一瞬に隙を突かれたと悔やむ高杉は大きく舌打ちをし、男を追いかけようとする。
が、沖田は素早く彼の肩を掴んだ。
高杉が思わず足を止め目を見張る程、彼の表情は酷く黒かったらしい。
十三躍 去年の秋の話 5&神楽の決心→←十一躍 不良のギャップはドSには面白過ぎる
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白玉(プロフ) - 面白すぎる..さすがプリン!!ww (2017年10月1日 8時) (レス) id: d7b0293ef7 (このIDを非表示/違反報告)
プリンちゃま(別垢)(プロフ) - みかんさん» みかんさん、ありがとうございます!『面白い』と評価して下さってマジで嬉しいです!!これからも応援ヨロシクお願いします★ (2017年4月8日 20時) (レス) id: 5afe51ca08 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです!沖田と神楽の所が特に面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2017年4月8日 19時) (レス) id: 7cb491045b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年3月31日 18時