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四十四躍 認められないサド野郎は只のクソガキ野郎 ページ43

神威と信女は病院にたどり着くと、受付に行き簡単にミツバがいる病室へのルートを教えてもらった。どうやら彼女の病室は15階の一人患者用の482号室らしい。
二人は掛かっている地図を頼りに彼女の病室の階へとエレベーターで進む。

「着いた。此処が15階だね」

チーーンとエレベーターのドアが開く音と同時に降りると、右へそのまま向かっていく。
暫く歩いていると目的の病室の標識が見えてきた。

482号室
二人が扉の前へ立った時、突然中から聞き慣れた話し声が二人の耳に入った。

「待てよ、土方」

たったそれだけの短い言葉だったが、しっかりと彼らの頭にあのドS野郎の顔が浮かんだ。

「総悟?」

「…しっ。取り敢えずまだ入らない方がいいわ」

信女は神威にちょっとした注意をすると出来るだけ自身の気配を消すことに努める。彼も同じように黙って気配を押し殺した。

「何も答えず勝手に帰るんですかィ、アンタ」

聞いていると一緒にいるのはクラスメイトであり、信女と同じ剣道部の土方だ。でも、何故彼がミツバの病室に居るのだろう。

「…お前の言う通りだ。俺は別に何か用事があってコイツに会いに来たんじゃねェ。深い理由がある訳でもねェ」

だが、この土方の言葉だけで神威と信女は土方の何かを理解したのか、二人は顔を見合わせ頷いた。何故彼が此処にいたのか。沖田が何故不機嫌なのか。それはきっと土方がミツバにある気持ちを抱いてるからなのだろう。

「俺はただコイツの何の曇りもねェ笑いヅラ見に来ただけだ」

その言葉を聞かずとも二人の心は理解から確信へと変わったのだった。

****

土方はそれだけ言い残すとさっさと帰って行った、ミツバに何も交わさず。だが、心無しか土方とミツバにとってはそれが「またね、またな」という挨拶交わしなのだろうと思えてしまった。

それくらい未だ二人の関係が認められない沖田とも分かりきっている事だった。

「…姉上、すみません。折角土方さんに久々に会えたのに取り乱してしまって」

「総ちゃんが謝る事じゃない。確かにあの総ちゃんが怒ってるみたいで少し驚いたけど、誰にだってそういう時もあるわ。だから折角会いに来てくれたんだからそんな顔しないで頂戴」

「…はい」

沖田は今になって少し冷静になってきた為、さっきの取り乱しに姉に罪悪感を覚えた。
自分だって姉の気持ちに気づいてる筈なのに。土方が何を望んでるかも分かっている筈なのに。

沖田は暫くの間、姉の顔を見る事が出来なかった。

四十五躍 現実は残酷で→←四十三躍 最後のオチは大体目に見えてる



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白玉(プロフ) - 面白すぎる..さすがプリン!!ww (2017年10月1日 8時) (レス) id: d7b0293ef7 (このIDを非表示/違反報告)
プリンちゃま(別垢)(プロフ) - みかんさん» みかんさん、ありがとうございます!『面白い』と評価して下さってマジで嬉しいです!!これからも応援ヨロシクお願いします★ (2017年4月8日 20時) (レス) id: 5afe51ca08 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです!沖田と神楽の所が特に面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2017年4月8日 19時) (レス) id: 7cb491045b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年3月31日 18時

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