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「それ、リーダーじゃなくて、翔ちゃんの入れ知恵でしょ？
翔ちゃんの勇者ショーじゃん。」
「雅紀うるさい。入れ知恵っていい方！！
あれは智さんの気持ちを勇者らしいセリフにしただけ。
智さん、生本番は苦手なんだから。結果いい感じだったんだから良いだろ？」
「と、いうことで、あの大げさなのは翔さんのせい。
でも、中身はみんなの気持ち。」
「智さんまで。」
ピアスの向こうでわちゃわちゃと話がすすむ。これをずっと聞いていたいけど、
これが最後なんだろうな。と思うと鼻の奥がツンとした。
「で、A？？」
和也さんの声がした。
みんながピタッと話を止める。
私も思わず、伝えたいことがあることを忘れるところだったと気を引き締める。
そっと深呼吸して話だした。
『私、薬師として認めてもらいたいと思いながら、
村の人にわかってもらえるはずがないと決めつけて、交わろうとしなかった。
岩ちゃんのこととか、両親のこととか考えると何もかもが嫌になって、拒絶して本来の薬師としての務めも放棄しそうになった。
でも、みんながいてくれたから立ち直れた。
それに、
みんなが私のことを認めてくれて、村の中で私の居場所をつくってくれた。
背中を押してくれた。
ありがとうございます。
感謝の気持ちでいっぱいです。
私、私の目指す薬師になれるよう。
あの村の一員として、あの村を支えて
今まで受けていた恩を返せるよう。
頑張ります。
魔王封印の旅は険しいと思います。
体に気をつけて。
御武運をお祈り申し上げます。
皆さんを待っている人たちの元に生きて帰ってきてください。』
(もう、お会いすることはないと思いますが。皆さんに出会えて幸せでした。
もう会えないのが寂しいです。戦いが終わったら村に顔を出してください。)
残りの言葉は胸の中にしまった。
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作者名：咲良もち
| 作成日時：2019年2月8日 16時
