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第六十話 森の策略 *挿絵有り ページ14

「それでね前から考えていたのだけれど・・・__」




森は万年筆を机の上に置くとにこりと笑みを貼り付けた。


「そろそろ君には暗/殺や私の秘書としての仕事以外
の別の事をして欲しいんだ」


何故だか目の前にいる男の目は笑っていなかった。

それが気持ち悪くて、淳は生唾を飲み込む。


「ほら 君ももう良い年頃だろう?

君のような年齢の女の子は矢張り人気でね」


真逆、

淳の目が見開かれた。


森の云いたい事を淳は理解していた。


詰まりはハニートラップ。

身体を使えと云うのだ。


「そんな怖い顔をしないで呉れ

私だって本当はこんな事したくは無いんだよ」


「でもねぇ」

森はやれやれと首を振り云った。


「この間のあの会社

如何にもポートマフィアの荷を横流ししているみ
たいでね

若しかしたら我々を裏/切っているのかもしれない
んだよ」

『ぇ・・・』


そんな筈無い。

だってあの会社は森が調べる必要は無いと、そう云っていたから。


『首領・・・お言葉ですがあの会社は問題無いと私
に仰った筈です・・・』

「そうなんだけどねぇ」


森の目は矢張り笑っていなく、目の前にいる淳を品定めするような冷たい瞳で見ていた。


「如何やらつい最近(・・・・・・・)になって
動き出したらしい」


冷や汗が頬を伝った。

そうか、


頭は冷静だった。


あの時、あの会社に行った時から私は首領に嵌められて(・・・・・・・・・・)いたのだ。


目の前が歪む。


森の顔が淳には悪魔に見えた。



こうなる事は全てとうに決まっていたのだ。

私が誰かに想いを寄せる事も、そして否定される事も。


「取り敢えず今日はゆっくり休みなさい

大丈夫 明後日にアポを取っておいたから」

「あの会社の社長はえらく君を気に入っていたから
ね」

「きっとよくして呉れるよ」


森の言葉は淳の頭には入らない。

ガタガタと震える身体を何時の間にか近くに来ていた森が抱き締めた。

ポンポンとあやすように背中を軽く叩く。


森の付けている香水の匂いが辺りに漂っていた。


「私の可愛い可愛い"淳"

私の為にポートマフィアの為にやって呉れるね?」


鎖。

森の言葉は淳を繋ぐ鎖だ。


拾われた頃から彼の言葉は絶対だと脳にインプットされているのだ。


抗えない、彼の言葉からは決して・・・。



.


.


.




『__・・・はい』


掠れた声でそう返すのが精一杯だった。



第六十一話 涙→←第五十九話 届かない、



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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» いえいえ、大丈夫ですよ。 (2018年5月11日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
無断転載禁止 - 私の勘違いでご迷惑をお掛けしましたすいません (2018年5月1日 7時) (レス) id: ad49824d41 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» アイビスペイントにて描きましたので一応証拠として写真を一時的にあげておきますね。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» 本垢なら「とっちー」という名前のはずですが・・・。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» それは私です。本垢か文スト垢かどちらのイラストを見たのかは分かりませんが「雨雫」という名前ですよね? (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年4月11日 15時

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