第四十八話 細雪 ページ49
「『細雪』!」
谷崎の声が響き渡る。
部屋の中を謎の緑色の光がカーテンのように包み込んだ。
しんしんと、
穴など空いていない頭上から緑色に発光する雪が降る。
「雪・・・」
「雪だ・・・」
誰かがそう呟いた気がした。
オレンジ色の髪を持つ彼と視線が交わる。
谷崎の意思で淳の姿が隠された。
「・・・え?」
隣にいた三雲は必死に其の姿を探す。
自分の躰の横に手を翳すが其処には何も存在しない。
一瞬で彼女は消えたのだ____。
周りが驚きの声を上げる中、犯人の一人で或る"記憶を操作する"異能者は辺りの気配を探っていた。
谷崎の能力を知っている彼にとって姿が見えないのは予想通りだ。
後は____。
真横から急に姿を現した淳の躰に弾丸を降らせる。
然し、其れは蜃気楼のようにゆらゆらと揺れ軈て消えていった。
男はにやりと口角を上げる。
後は実体を探すだけだ_____。
真横から、正面から、背後から現れる虚像に躊躇いなく引き金を引いた。
人質で或る千佳は怯え、座り込んでいる。
本物の淳の姿は未だ現れない。
「なんだァ?早く姿を現せろよ!
武装探偵社と云う奴らは皆腰抜けなのか!?」
興奮気味に男は云い、高らかに笑う。
「・・・・・」
其の言葉に反応してか、能力を使い乍ら俯いていた谷崎が顔を上げた。
「アァ!?」
其の顔に浮かんでいるのは勝利を確信した笑み。
へにゃりと笑う彼を見て、男は目を見開いた。
男の足元、丁度懐に入れるような位地。
其の場所がぐにゃりと歪む。
歪む空間から見える銀髪と夕陽色の瞳。
握られた小刀が鈍く輝いている。
拙い____。
男は銃の引き金を引く前に強い衝撃を感じた。
「ァ・・・カハッ」
自分の口から溢れる鮮血。
広がる鉄の臭い。
男の手から銃が滑り落ちた。
落ちる銃に目を向ければ当然見たく無かった光景も目に入る。
自分の腹部に突き刺さった小刀。
じわじわと広がる真っ赤な染み。
夕陽色の瞳と視線が交差する。
其の瞳は狂気に揺れていた。
ゴプリと血を吐き膝を付く、ぐるぐると周りの景色が歪む。
同じ目線になった淳の顔と男の顔が近付いた。
彼女は薄ら笑いをして耳に口を近付ける。
『あーぁ・・・つまんないなぁ』
其の言葉に男は目を見開く。
「・・・手前!」
男はか細い乍らもそう云う。
第四十九話 其の問いは__→←第四十七話 三雲 修と銀髪さん
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます。ワートリと文ストのクロスオーバーの話なら考えているのですが銀魂の方は大まかなストーリしか知っていないのでご期待に添えるかは分かりません。なかなか占ツクに顔を出す事が出来ませんがこれからも宜しくお願いします。 (2017年9月23日 18時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったらワールドトリガーとコラボかトリップか転生した黒バスかアニメKか銀魂の銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体調にきよつけてがんばてください。 (2017年9月23日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます。なかなか占ツクに浮上する事ができませんが更新頑張りたいと思います。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - ウォォォ!続きが気になります。(>_<)更新頑張って下さい! (2017年6月17日 14時) (レス) id: c10de46325 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ふにゃたさん» コメントありがとうございます。更新頑張りたいと思います。 (2017年4月3日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年2月24日 23時