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第二十三話 灰色の箱 ページ24

社員のほぼ全員が帰った探偵社は静けさに包まれている。

此んな時間迄残っているのは仕事熱心な国木田か社のトップで在る福沢くらいだ。

淳は社に着くなり真っ先に社長室に向かってしまった。

今頃社長に初日の報告をしているだろう。


「おい唐変木!仕事もしないでふらっと出て行ったお前が何故戻ってきた!」

「やだなー 報告書ならちゃんとやるよ



明日 敦君が」


鬼の形相と化した国木田の言葉をさらりとスルーして太宰が步を進める先には淳の机が或る。

二カ月もの間使っていない為か机の上は綺麗に整理されたままだ。


「えーと? 何処だったかな」

「おい太宰!」


彼女の机の抽斗(ひきだし)を勝手に開け漁る太宰に国木田は声を荒らげる。

そんな国木田を気にする様子は無く、太宰は「あ 有った」と何かを取り出した。


イヤホン型の通信機。

淳が探しておいて欲しいと頼んだのである。


「イヤホン型の通信機か・・・

石川の必需品 だな」


国木田は成程と頷き再び席に付く。

カタカタと電算筐体(コンピューター)のタイピング音が室内に響いた。


太宰はそんな国木田を見ながらイヤホン型の通信機を取り敢えず自分の外套の衣囊(ポケット)に滑らせた。


カタン


軽い音がして、太宰ははて?と頸を傾げた。



音のした方を見れば其処には灰色の小さな箱が或る。

其れを見た瞬間に太宰は其れが何なのか理解した。



嗚呼、君はまだ此れを大切に持っていたのか。



太宰は其れの正体を勿論知っている。

そもそも此れを選んだのは太宰自身でも或るからだ。


思い出すのは懐かしいあの頃。

もう二度と戻れない___否、戻らない日々。


彼女は___淳は今でも君の事を愛していると云うのに、君は何故目の前から消えた。

彼女が浮かばれないじゃないか。


暗く澱んだ琥珀色の瞳がジッと其れを見つめる。


カチャリ


扉の開く音がして、厭な予感と共に太宰は扉の方へと視線を移した。


『太宰君・・・・・』


花が綻ぶような笑みを浮かべていた彼女の表情がピシリと固まる。

視線の先には自分が持っている灰色の箱。


『ッ___・・・・・返して!』


ハイヒールのまま大股で淳は太宰に歩み寄った。

手の中の灰色の箱は彼女に拠って奪われる。


淳の怒鳴り声を聞いてか、吃驚した表情で国木田は此方を見た。

第二十四話 紅玉の指輪→←第二十二話 社員寮への帰路にて



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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます。ワートリと文ストのクロスオーバーの話なら考えているのですが銀魂の方は大まかなストーリしか知っていないのでご期待に添えるかは分かりません。なかなか占ツクに顔を出す事が出来ませんがこれからも宜しくお願いします。 (2017年9月23日 18時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったらワールドトリガーとコラボかトリップか転生した黒バスかアニメKか銀魂の銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体調にきよつけてがんばてください。 (2017年9月23日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます。なかなか占ツクに浮上する事ができませんが更新頑張りたいと思います。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - ウォォォ!続きが気になります。(>_<)更新頑張って下さい! (2017年6月17日 14時) (レス) id: c10de46325 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ふにゃたさん» コメントありがとうございます。更新頑張りたいと思います。 (2017年4月3日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年2月24日 23時

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