【ワールドトリガー】探偵社の銀髪さん。【文豪ストレイドッグス】

第十一話 空閑と緑川 ページ12

ボーダーの最も隊員が集まるであろうランク戦をするロビー、其処に淳たちと案内役を任された迅、風間はきていた。


風間の付けているイヤホン型の通信機では歌川と菊地原が何事も無かった事を伝える。


まぁあの会議室に彼女たちが何事も無く着いた時点で任務をし仰せた事は判っていたのだが。


「此処がＣ級のランク戦ブースだ

此処では主に個人での模擬戦をしている」


ロビーに備え付けられた大きなスクリーンには模擬戦をしているのであろう少年たちの姿が映っていた。

『手際が善いですね

戦い慣れしているのでしょうか』


ピイィィと終了のアラームが鳴る。

画面には空閑６ー緑川４と表示してあった。


「空閑が勝ったか

善い勝負だがまだまだ改善の余地は有るな」

「駿も強くなったなぁ」


風間と迅はそう呟く。

スクリーンに映し出されていた二人が楽しそうに笑みを浮かべ此方に歩いてきた。


「空閑 緑川」


風間が声を掛けると「お かざまさんと迅さんだ」と空閑は珍しそうに云った。

緑川も満面の笑みを浮かべる。


「迅さん 風間さん 見ててくれたの！？」


犬っころのようにはしゃぐ緑川を微笑みながら見つめる。


「あれ？風間さん 迅さん其の人たちは？」


緑川は淳と敦を見て頸を傾げた。

空閑も真っ赤な瞳で見つめる。


「嗚呼・・・・・彼女たちはボーダーに資金提供を
してくれる事になった新しいスポンサーの人た
ちだ」


チラリと風間は此方を見る。


有難うございます、と淳は心の中で礼を云う。


淳たち二人の正体がバレないよう、彼女たちはある嘘をつく事にしたのだ。


『ボーダー隊員たちが私たちの事をスポンサーだと勘違いしているなら其れを利用しましょう』其れが彼女の提案だった。


スポンサー、その立場なら疑われず尚且つ自由に動く事ができる。


風間以外のＡ級各隊員には忍田から事態を伝える事に決定した。


「へぇ スポンサーの人なの？」


空閑が訊いた。

その顔は無垢其の物で、敦は「はい」と返事をした。


「ふぅん・・・・・」


空閑の曖昧な返事に淳は反応した。

よく見れば彼の瞳孔が真っ黒に染まっている。


拙い。


直感的にそう感じ、淳は『敦さん 風間様 迅様』と声を掛けた。


『そろそろ別の場所に行きましょう

案内お願いしても宜しいでしょうか』

「嗚呼・・・・・」


風間は少し不思議に思いながらも空閑と緑川に別れを告げる。


『行きましょう 敦さん』


そう云い足早に去っていく四人を空閑は真っ赤な瞳で睨み付けていた。

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