【ワールドトリガー】探偵社の銀髪さん。【文豪ストレイドッグス】

第十話 小型かつ高性能 ページ11

メディア対策室長の根付、本部開発室長の鬼怒田、そして本部長補佐の沢村。


顔と名前が一致した処で「次は蒼也だな」と林藤は云う。

深緑色のダウンジャケットを着た青年が立ち上がった。


「Ａ級３位風間隊隊長の風間だ

宜しく」


風間は手短にそう云うと素早く席に着いた。


風間をジッと見ていた淳は『あの・・・済みません』と声を上げた。


『風間 様は二十歳ぐらいで宜しかったでしょうか』


彼女の質問に林藤は「ぶふぁっ」と笑い声を洩らした。

忍田は林藤を睨み付けるが全く効果が無い。


「蒼也の年齢を初見で間違え無かったのはお前だけ
だよ」


成程。彼はもっと下に見られることが多いのか、淳は『へぇ』と小さく呟く。


「其れにしても何で判った 此奴が二十代だって」


林藤の問いに淳はにこりと笑う。


『簡単なことですよ

彼の今迄の言動凡てを観察していたんです』


『やけに雰囲気が落ち着いていましたし』と彼女は云う。

『まぁ』彼女は付け足すように云い笑った。


『私の知り合いに風間様のように背の小さい成人が
いましてね

直ぐに判りましたよ』


『此の位の』と淳は自分の額辺りに手を翳して面白そうに目を細めた。

「そうかそうか」ニヤニヤと笑う林藤は徐ろに煙草を咥える。


「風間の話はもう善いだろう・・・」


忍田はげんなりとしながらそう云った。

風間の隣に座っていた迅は「おれは昨日お逢いした筈です」と淳を見て云った。


『そうですねぇ』


『ふふふ』と笑った彼女から一瞬にして笑みが消える。


此処にきて初めて彼女が笑みを絶やした瞬間だった。


ガラリと変わった彼女の雰囲気に唾をゴクリと呑み込んだのは誰なのか、若しくはその場にいた彼女以外の全員なのか。


淳に全員の視線が集まる中、彼女は其れを諸共せずに何の感情も感じられない声色で云った。


『却説(さて) そろそろ本題に入りましょう


貴方は私たちに何を求めるのですか＿＿＿城戸様』


そう訊く彼女の横顔が誰かに似ている気がして、敦は震える手を反対の手で押さえた。


誰に＿＿＿彼女は誰に似ているのだろうか？


しんと張り詰めた空気の中、城戸は口を開いた。


「＿＿＿＿＿＿＿」


城戸の言葉に淳の口元が大きな弧を描く。


『判りました 其れがご依頼と云うなら私は精一杯
手を尽くしましょう』


彼女の瞳が一瞬、獣のようにギラついて見えた気がした。

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