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白髪78 ページ10

ポロリ


涙が零れた


『ありがとう・・・・本当に、ありがとう』


少女は頭を下げる

ヴィザは何も言わなかった、が優しげな笑みを浮かべる


『貴方のお陰で今の私が居ます

ありがとう・・・・・』


貴方のお陰で私は今も生きています

何度お礼を言っても言い足りない


くしゃり

懐かしく大きい手が少女の頭を撫でた


「本当は、忘れてしまおうと、ずっと思っていまし
た・・・・・」


「でも」とヴィザは続ける


「忘れる事が出来なかった・・・・・駄目ですね、
私は・・・・・

どうしても情けをかけてしまう」


少女の瞳からは絶え間なく涙が零れていった

地面に落ちたそれはみるみると吸い込まれていく


ヴィザは少女の頭から手を離すと微笑んだ


「・・・・・どうやらこちらの負けのようです

私たちは撤退します・・・・・」


ヴィザは自分の手首のブレスレットを見せた

それからは嫌な気配がする


『ヴィザ翁様・・・・・』


少女は名残惜しそうに、悲しそうにヴィザを見た


『本当に、ありがとう、ございました・・・・・』


少女の瞳から涙がまた零れた

ヴィザは笑い掛け少女の涙を指で拭ってくれる


「さようなら、レイン嬢」


ヴィザの声が遠のいて行く

遠くで門が開き彼はその中へ入って行った






門が閉まり、三門を被っていた雲が晴れていく

キラキラと太陽の光が差す中、少女は自分の身体を掻き抱き地面に膝をついた



少女の嗚咽だけが辺りにこだまする

ボロボロと碧い瞳からは涙が落ちて行った_____






.






.






.





赤く腫れぼったい目を擦りながら少女はボーダー本部基地の前まで歩いていた


「レイン」


天羽の声が聞こえる

白いパーカーが夕日に照らされオレンジ色に輝いていた


『天羽さん・・・・・』


ふわり、少女は天羽に抱き着いた

甘い甘い匂いが香ってくる


安心する優しい匂い


『・・・・・』


急激な眠気に襲われ少女の瞼が閉じていった

天羽が頭を優しく撫でてくれるのが分かる


「疲れた、よね・・・・・

おやすみ、レイン」


少女の瞳が完全に閉じられた

意識は深い所へと沈んで行く








.







.







.






その日、少女はある恐ろしい夢を見た

少女が家族を失ったあの瞬間の夢


でも、何故か、誰かがその恐ろしい夢から助け出してくれた気がした

顔は見えない、けど



甘く、優しい匂いのする人だった______

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シア - 最新待ってます‼︎ (8月26日 23時) (レス) id: e4da277671 (このIDを非表示/違反報告)
雄飛~Yuhi~ - 更新していただきたいのです!!お願いします!! (2018年12月26日 22時) (レス) id: 17482f2c04 (このIDを非表示/違反報告)
羽鳴 - 更新、待ってます。忙しいとは思いますが、頑張ってください。期待してます。 (2017年10月11日 17時) (レス) id: 8f8b055d27 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます。時間が掛かると思いますが宜しくお願いします。 (2017年2月8日 8時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 更新待ってます。 (2017年2月7日 23時) (レス) id: a8f449b6ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RAIN@元アラジンlove | 作成日時:2016年10月30日 19時

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