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白髪75 ページ7

バリッ


そんな音を立て、ぼんち揚の袋は破られた


少女たちの周りはすっかりと更地になっている

基地の西、迅に任されていた地区のトリオン兵を殲滅した少女たちはトリオン兵の残骸の上に腰掛けていた


『はい、天羽さん』


少女は袋を差し出し天羽はその袋からぼんち揚を一つ取り出した


天羽が1口齧るのを見届けると少女も袋の中に手を入れぼんち揚を取り出す


ふわりとスナック菓子特有の匂いかして、少女はぼんち揚を齧った


ボリボリ


固めのぼんち揚とそれに掛かっている塩がなんとも言えない美味しさを生み出していた


『美味しい?天羽さん』

「うん・・・・・」


天羽は残りを口に放り込み咀嚼した

頬がパンパンになっている天羽を見て少女は『ふふ』と笑う


『ハムスターみたいだね・・・・・』


ツンと人差し指で少女は頬をつついた

天羽はあむあむと咀嚼し、飲み込むと物足りなさそうな顔でジッと見る


『ぼんち揚・・・・・欲しいの?』

「うん・・・頂戴・・・・・」


ずいと顔を近付けて強請る様子はハムスターではなく犬だ

少女は袋を漁りぼんち揚を差し出す


『はい、天羽さん・・・・・』


しかし、彼は少女の手にあるぼんち揚を取ろうとしない


『天羽さん・・・・・』


『食べないの?』少女は訊いた

天羽は暫く無言で考え込むと口をあーん、と開けた


「頂戴・・・・・レイン」

『・・・・・ん?』


頭の上に?が浮かぶ

自分で食べるんじゃなくて食べさせろと?


顔中に熱が集まる感覚


『あ、いや・・・・・天羽さん?』

「頂戴・・・・・」


「くうぅぅん」と今にも垂れた耳と尻尾が見えそうだ

悲しそうに「食べさせてくれないの?」と目で訴えて来る


『う、分かったよ・・・・・』


その目に弱い少女は『はい、あーん』と天羽の口元にぼんち揚を運んだ

唇に触れ、ぼんち揚が彼の口の中へ姿を消していく


あまり気にしないように、少女は目線を逸らし自分の分のぼんち揚を口にした


ボリボリ、ボリボリボリボリ


咀嚼音だけが辺りに響く


『・・・・・!?』


何か温かい物に指が触れ、少女は反射的に目線を指へと移した

柔らかく、温かい


『あ、あもぅさ・・・・・』


『それ、私の指・・・・・』その言葉が出なかった

何も言わない事をいい事に天羽はぼんち揚と共に少女の指を甘嚙みする


やがて少女の指が口から離れた

天羽はペロリと唇を舐める


「美味しかった・・・・・・」


後には満足気な天羽と一人頭を抱える少女だけが残された

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シア - 最新待ってます‼︎ (8月26日 23時) (レス) id: e4da277671 (このIDを非表示/違反報告)
雄飛~Yuhi~ - 更新していただきたいのです!!お願いします!! (2018年12月26日 22時) (レス) id: 17482f2c04 (このIDを非表示/違反報告)
羽鳴 - 更新、待ってます。忙しいとは思いますが、頑張ってください。期待してます。 (2017年10月11日 17時) (レス) id: 8f8b055d27 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます。時間が掛かると思いますが宜しくお願いします。 (2017年2月8日 8時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 更新待ってます。 (2017年2月7日 23時) (レス) id: a8f449b6ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RAIN@元アラジンlove | 作成日時:2016年10月30日 19時

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