白髪73 ページ5
甘い、甘い
その匂いは何処か母親の匂いに似ていて____とても安心出来る
彼の柔らかな表情と母親の表情が重なって鼻がツンとした
彼の左手の薬指に口付けをする
「・・・・・!?」
天羽の顔が一気に真っ赤に染まった
こんなにも表情を崩した彼を見るのは初めてだった
『大好き____大好き、天羽さん』
ポロリ、ポロリと少女の瞳から涙が零れる
涙は頬を伝い地面へと落ちて行った
『大好き、大好き・・・・・
私を、あの日、あの場所から助けてくれてありが
とう_____』
少しばかり、彼の口角が上がった気がした
黄金色の瞳は優しげに少女を見つめる
ふわり
身体が強い力に引っ張られポスンと少年の腕の中に収まった
甘い匂いが鼻いっぱいに広がる
「大好き、大好きレイン・・・・・」
腕の力が強くなり、少女は天羽の胸に顔を埋め涙を零した
やっと、伝える事が出来た_____
あの日、あの場所から私を助け出してくれた
私はそんな彼に、いつの間にか惹かれていた
まだ閉じ込められていた頃、迅や風間達から聞いていた外の話
記憶が無い頃の自分はそんな話に心を打たれ、それと同時に激しく嫉妬していた
自分はこんな暗い場所でひとりで居るのに___どうして?と
寂しさに打ちひしがれ、涙を流し、どうしてどうして?と毎日自問自答していた
そんな時にこの少年は来てくれた
少女の身体に巻き付いた負の鎖を引きちぎり、彼は少女を助けてくれた
あの時の少年の真っ直ぐな瞳を少女は忘れない
『大好き、大好き、天羽さん
・・・・・ありがとう』
遠くから今だに聞こえる爆音
もう少しだけこうしていたかった____でも
少女は自分達に近付く1人の人間の存在に気付いていた
少女は顔を上げ後ろに居るであろう人物の名を呼ぶ
『何・・・・・?
迅さん・・・・・』
ザッと地面を踏み締める音
後ろには飄々とした表情の迅が立っていた
「いやいや、ごめんな
完全に邪魔したな」
迅はそう言いグリグリと2人の頭を撫でた
「迅さん・・・・・」
天羽はポツリとつぶやく
「本当にごめんって
それにしても_____」
迅は天羽達によって更地となった警戒区域を見た
「おまえらなーもうちょっと加減しろよ」
ハハハと、迅は苦笑いした
天羽は先程の葛藤が嘘のような無表情で答えた
「やだよ
めんどくさい・・・・・」
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シア - 最新待ってます‼︎ (8月26日 23時) (レス) id: e4da277671 (このIDを非表示/違反報告)
雄飛~Yuhi~ - 更新していただきたいのです!!お願いします!! (2018年12月26日 22時) (レス) id: 17482f2c04 (このIDを非表示/違反報告)
羽鳴 - 更新、待ってます。忙しいとは思いますが、頑張ってください。期待してます。 (2017年10月11日 17時) (レス) id: 8f8b055d27 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます。時間が掛かると思いますが宜しくお願いします。 (2017年2月8日 8時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 更新待ってます。 (2017年2月7日 23時) (レス) id: a8f449b6ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RAIN@元アラジンlove | 作成日時:2016年10月30日 19時