【ワールドトリガー】白髪少女の備忘録【天羽 月彦】

白髪９０ ページ22

２人が了承したのを見届けると忍田は端末を２人の前に置き例の映像を流した


「・・・・・」

「・・・・・」


２人は窓の部分をじっと見る

奈良坂は何かに気が付いたのか少し考える素振りを見せた


再生されていた映像を忍田は止め、訊いた


「どうだ２人とも、何か分からないか？」


忍田の問いに奈良坂は答える


「多分、映ってた場所はコンクリート造りのビル

高さ的には４階位の場所です」


奈良坂は止まっている動画の窓の所を指差す


「ビルの室内の様子から多分その一帯は警戒区域、
現に窓の外に映っていたビルは荒れ果てていまし
た」


唇に指を当て、奈良坂は当真を見る


「あんたは何か無いのか？当真さん」


当真は１つ欠伸をすると「そうだなー」と呑気に言った


「警戒区域内に４階以上のビルのある場所は限られ
てる・・・・・

大方基地の東の方か南の方だろ」


「なるほど」忍田は頷く


「大体分かった

だがまだ範囲が広すぎる、もう少し絞れないか」


忍田はもう１度映像を再生した


必ずこの映像の中にある筈だ、場所を知らせる何かが


奈良坂は映像を食い入るように見続ける


気絶した少女、叫ぶ少年達

壁に掛かった時計、薄暗い部屋に微かに差し込む太陽の光、少しづつ動く影


「太陽」奈良坂の口からその言葉は発せられた


「太陽・・・・・？」


忍田は映像を確認し「そうか！」と呟く

当真は今だに分からないようで頭に？を浮かべていた


「今、この時間なら太陽はこの位置の筈です」


奈良坂は要らない書類と唐沢から借りた万年筆で太陽の動きを描いた

太陽の動きを描く事によって少女達が居るであろう方角は割れる＿＿＿＿南だ


「なるほど、影の動きか」


当真はにやりと笑った

奈良坂は万年筆の蓋をし、呆れたように言う


「当真さんも太陽の動き方くらい分かるんだな」

「あんまりおれを舐めるなよ？奈良坂」


当真は奈良坂の背中をバシバシと叩いた


そんな２人の様子を尻目に忍田は指示を出した


「大体の場所は分かった、レインの捜索
には風間隊を使おう

彼らはこういう仕事に適任だろう」


風間隊の十八番(おはこ)隠密戦闘、隠密トリガーを使い戦う彼らなら気付かれずに捜索する事が出来る


「いいですね？城戸司令」

「・・・・・分かった、許可しよう」


城戸は了承した

忍田は微かに笑みを浮かべる


「迅、天羽を呼べ

彼も心配しているようだからな」


忍田は天羽からの着信履歴で一杯になった携帯を見せ肩を竦めた

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