白髪88 ページ20
《お前らが!お前らが俺達の所に正隊員を寄越して
くれたら!!
こんな事にはならなかった!!》
少年達は瞳からポロポロと涙を零す
ウイィィン
そんな音がして会議室の扉は開かれた
「林藤さん!忍田さん!
城戸、さん・・・・・」
飛び込んできたのは必死そうな表情をしている迅だ
林藤は瞬間的に「まずい」と顔を顰める
端末からは今だに少年達の声が聞こえていた
《そうだ、確か元S級の迅ってやつ
未来視のサイドエフェクトとかいうやつ、持って
たよな!》
少年の言葉に迅は言葉を詰まらせた
瞳はゆらゆらと泳いでいた
《なんで!未来を視る事が出来たのに俺達の友達は
助からなかった!?
なんで見捨てたんだよ!?》
「・・・・・っ!!」
迅の表情は途端に変わった
先程までの必死な形相は恐れへと変わり、力の抜けた身体を支えるように彼は机に手を付く
「違う」
迅は小さくそう呟いた
おれは、おれはそんなつもりじゃない
見捨てたんじゃないよ
ただ、1人でも、助かるように、最善を選んだ
後輩の眼鏡の少年の死/を遠ざかせ、後輩のあの小さな少女を守った
その2人を守るには、それしか、
迅は悔しそうに唇を噛んだ
迅の様子に気が付いた忍田は悲しそうな瞳で迅を見る
「うぅ」と迅は苦しそうに息を吐いた
そんな迅の様子をちらりと見て城戸は端末に目を戻し口を開いた
「迅隊員は、そのサイドエフェクトを使って君達沢
山の隊員の命を守った・・・・・」
端末を見て城戸はそう言う
「確かに、守れなかった命や人生もある」
端末の中の少年達の言葉が詰まっているのが分かる
城戸は畳み掛けるように言った
「だが、彼のその能力のお陰で沢山の命を守った
私達は市民を守るためにこうして活動している」
城戸は少し目を瞑り続けた
「私達も君達と同じ人間だ・・・・・
全ての隊員を___ましてや全市民を守れるわけ
じゃない
守れなかった命の責任を迅隊員だけに背負わせる
のは正しい事だと、君達は思うのか?」
《・・・・・!?》
城戸の言葉を聞いてか、端末からは「もう止めようぜ」と数人の少年達の言葉が聞こえた
そんな少年達の様子に林藤も忍田もため息をつく
鬼怒田達の顔にも安堵の笑みが浮かんでいた
しかし、迅だけは違う
「あぁ、まずい
そっちは、ダメだ」
サイドエフェクトを使っているのか、瞳はゆらゆらと揺れていた
迅の言葉通り、事はそう簡単にはいかなかった
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シア - 最新待ってます‼︎ (8月26日 23時) (レス) id: e4da277671 (このIDを非表示/違反報告)
雄飛~Yuhi~ - 更新していただきたいのです!!お願いします!! (2018年12月26日 22時) (レス) id: 17482f2c04 (このIDを非表示/違反報告)
羽鳴 - 更新、待ってます。忙しいとは思いますが、頑張ってください。期待してます。 (2017年10月11日 17時) (レス) id: 8f8b055d27 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます。時間が掛かると思いますが宜しくお願いします。 (2017年2月8日 8時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 更新待ってます。 (2017年2月7日 23時) (レス) id: a8f449b6ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RAIN@元アラジンlove | 作成日時:2016年10月30日 19時