中学で強豪のバスケ部でマネージャーだった彼女は、高校では強豪のバレー部でマネージャーをしています！

ボールが25個 ページ26

ー翼sideー


牛島さんの邪魔にならない距離をピッタリとついて走る。

後ろを少し振り返ると、他の部員がついてくる様子はない。



「いつもこのペースで走っているんですか？」


「ああ」


「疲れてなさそうですね」


「そうだな」



シーン


…会話が続かない。


牛島さんの顔を後ろから少し覗くと、少し汗を流す程度であまり疲れている様子はない。

牛島さんの身長は約190cm。それに対して私の身長は170cm。

約20cmの差がある。

加えて牛島さんは身長抜きでも足が長く一歩が大きいので、実質歩数は私のほうが多いだろう。

かくいう私も、牛島さんと同じく少し汗を流す程度でそれほど疲れていない。

言ってしまえば、あの人達に混ざってバスケをするほうがよっぽど疲れる。

春休み中は暇が多く、勉強の予習をしたり地理に慣れるために運動がてらに走っていた。



「白宮はマネージャー業が好きなのか」


「はい。そうです」



沈黙が続いたかと思えば、牛島さんから話しかけられた。



「練習中のお前は選手一人一人の動きを、手を休めることなく書き出しているように見える。あまり表情に出ないが、時々難しい顔をしたり何か思いついたような顔をしたり、書いた内容に満足したような顔をする」


「自分が見つけたりメモしたりしたものが、部員たちの役に立つことは嬉しいですから。でも、今書いている部活内容はまだ監督方に一回も見せていませんが…」


「その調子で残りを過ごせ。そうすれば、監督とコーチも認めてくれるだろう」



本人の顔は見えなかったがきっと真顔で話していたことだろう。

というか、表情があまり出ないことに関しては牛島さんも人のことを言えないのでは。


体験入部が始まってから経った日数は少ないが、この短期間で私は牛島さんに認められたと確信した。





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