32話 ページ33
「ごめん、私やっぱり今総悟の顔見たくない。」
そう言って、彼の前から去ろうと思った。
本当に真選組辞めたいの、なんて総悟の言葉が苦しくてしょうがない。
辞めたいか、辞めたくないかと聞かれれば、それは勿論辞めたくない。
けれど、辞めなければいけないか、辞める必要はないかと聞かれれば、辞める必要があるのだ、私は。
けれど、総悟に服の袖をぎゅっと掴まれてしまった。
「逃げんなよ。
真選組を辞めたいのか、辞めたくないのか聞いてるんでィ。
二択なんだから、簡単じゃねぇか。」
「...辞めなきゃ、いけない。」
泣きそうで、泣いてしまいそうで。
唇をぎゅっと噛んだ。
「そうじゃねぇだろィ。
辞めたいか、辞めたくないかだ。」
辞めたい、なんて口にするのはあまりにも辛くて、苦しくてできなかった。
けれど、辞めたくないなんて我儘を言うのも気が引けて、私は何も言えないでいた。
「お前が言わねぇなら、俺が言うけど。」
そう言う総悟に、ああ、ここで思い切り突き放してくれたら楽なのに、と思った。
必要がないと切り捨てられれば、中途半端な想いも断ち切ることができるだろうに。
なのに。
「俺は、Aにいてほしい。」
真っ直ぐ、私の目を見てそう言うのだから、いつだって総悟はずるいのだ。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時