25話 ページ26
私の言葉に土方さんは驚いたようだったが、何か言葉を発することはなかった。
「...それが、お前が出した結論なら、俺に止める権利はねぇよ。
剣を振るわなくても働ける場所は真選組にだってある。
けど、Aはそれも含めて、もう自分なりの結論を出したんだろ。」
月が綺麗で、静かな夜だった。
「土方さん。
今までありがとうございました。」
「お前には土方さん、じゃなくて他にも。
いや、一番にそれを伝えなきゃならねぇ相手がいるんじゃねぇのか。」
確かに私は一番隊副隊長で。
歳が近いこともあり、武州時代から一番近いところで過ごしてきたのは総悟だろう。
「お前には総悟に謝らなきゃいけないことも、感謝しなきゃいけないこともたくさんあるはずだ。
行ってこい。
総悟もAと似た者同士だ。
寝れずにまだ起きてるだろうよ。」
私は先刻まで握っていた竹刀を別れを告げるかのように手から離し、元の場所へとしまった。
今後これを握ることがあるかないかは分からない。
けれど、この場所で剣を取ることが今後もうないことは確かで。
・
「...総悟。」
ドアをノックすることすら忘れて、感情のままにノブを引く。
そこには、窓を開け、その淵に頬杖をついて外を眺める総悟の姿があった。
月の光に照らされた彼をかっこいいと思ってしまったことは、一生の秘密だ。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時