24話 ページ25
「負けちゃいましたね、私」
転がった私の竹刀と、首筋にあてがわれた土方さんの竹刀が全てを物語っていた。
「Aは、何かけじめをつけたくて俺に試合を挑んだんだろ。
Aの中でその決心は固まったのか。」
土方さんは、私が話していないにも関わらず、私が彼に試合を挑んだ真髄を見抜いているようだった。
土方さんの相手を読む力は真選組でも卓越していて。
先刻の試合でも、そんな彼の驚異的な読みに翻弄されてばかりだった。
「ありがとうございます。
こんな夜遅くに付き合ってもらって。
土方さんが言った通り、決心が固まりました。
私はもう、中途半端な気持ちではいたくないんです。」
床に転がった竹刀を拾い上げ、柄の部分を見つめれば、白かったテーピングが黒ずんでいた。
これが何年も積み重ねてきた努力の証だと思うと誇らしい。
「私、真選組を辞めます。」
けれど、そんな努力もここで終わってしまうのかと思うと、
もうこの竹刀を握る日が来ないのだと思うと。
少し寂しかった。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時