34話 ページ35
「さっき、こうやってお前とキスした時のことでィ。
正確に言えば、キスしちまった時のこと、か。」
じわじわと顔が熱く、熱を帯びていく。
どう思った、って、そんな。
「俺は__
すげぇ緊張した。
心臓はばくばくうるせぇし、あの時Aにどんな言葉をかけていいのかわからないくらいには狼狽してた。」
そういう総悟の耳は心なしか少し赤くて。
幼馴染だなんて言葉では片付けられないくらいに、私たちはお互いを意識していた。
だって、あの時緊張したのは、心臓の音がばくばくうるさかったのは、総悟だけじゃないのだから。
「私も。
緊張したし、心臓がばくばくうるさかったし。
...それに、ファーストキスだった。」
総悟が、それを聞いてハッと目を見開いた。
「もっかいしていい?」
「うん。」
こうやって、私が簡単に総悟のキスを受け入れることができるのは、私が総悟を好きだからなのか。
それとも傷心しきった心にそれが深く染みたのか。
恋なんてものと程遠いところで過ごし、愛なんてものとは縁がないと思っていた幼馴染を持った私には、まだ人を好きになるということがどんなことなのか分からないのだ。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時