10話 ページ11
私たちを迎え撃とうとする浪士どもを、何人斬っただろう。
いくら攘夷浪士といえど、剣技は新選組の足元にも及ばない。
刀で斬り伏せ、時に武術で相手を制す。
出来るだけ素早く浪士を片づけて、私は頭がいると思われる、敷地の奥へと足を進めた。
「大所帯新選組が、お一人での登場かァ?」
ヒヤリと冷気を放った何かが首に押し当てられた。
刀だ。
どうやら私は敵の気配に気づかず、背後を取られてしまったらしい。
けれど、これぐらいの状況など、今までに腐る程経験してきた。
「大口叩いてると痛い目見るかもね。」
足で相手の脛を蹴り上げ、力の弱くなった腕を掴んで捻り、相手の懐から抜けた。
すかさず抜刀して、相手を見据える。
目の前に立つのは、攘夷志士が頭目。
筋肉質の大きな体。
まともに受ければ重症は免れないであろう、大太刀が奴の腕に光っていた。
「流石は新選組。
女だって舐めてかかったことを詫びるよ。」
気味の悪い笑みを浮かべるそいつを睨みつけ、じりじりと距離を詰める。
戦場で、性別という理由で甘く見られていたことに腹が立った。
「あんたの纏め上げた攘夷党は、お頭であるあんたが舐めてかかった女に潰されるんだよ。」
引きつった顔を隠すかのように口角を上げ、剣を構えた。
...今考えると、その時の私は酷く馬鹿だった。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時