15話 ページ16
本当に、来てしまった。
邪魔するぞ、というと坂田さんは私の家に上がっていった。
ずっと一人で暮らしてきたアパートの玄関に靴が二足並ぶなんて、いつぶりだろうか。
私より一回りでも大きいであろうその靴を見て、坂田さんが男であることを再認識させられる。
私は先刻、これ以上関係が進んでしまうのは怖いと思った。
けれど、坂田さんともっと深く関われることを喜んでいる自分も、ここにいる。
考えても、考えても分からない。
このまま自分の気持ちに従って、坂田さんに手を伸ばすことが正解なのか。
それとも、お客さんと店員として、ぬるま湯に浸かり続けるのが正解なのか。
「おい、なにぼーっとしてんだ。
自分の家だろ。」
キッチンからひょこっと顔を覗かせた坂田さんに思わず笑ってしまう。
「坂田さんこそ、なんでそんなに自分の家みたいなんですか。
ここ、私の家なんですからね。」
彼と、坂田さんといると沢山悩むことがあるのは事実だ。
けれど、それと同時に喋っていて楽しくて、頰が緩んでしまう。
そんなところに私は惹かれたのだろうか。
...じゃあ、今日だけ。
今日だけは、店員もお客さんも忘れて。
「私の家に上がってんですから。
美味しい料理、作ってくださいよ。」
「言われなくてもわかってるっつーの。
俺を誰だと思ってんだ。」
ニヤリと笑う坂田さんに、私は靴を揃えることも忘れてキッチンへ向かった。
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けんそう(プロフ) - ・∀・さん» 目からジャスタウェイだなんて、なんだかそう言ってもらえて嬉しいです笑! こんな作品を読んでくださってありがとうございます! (2018年7月4日 18時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
・∀・ - 目からジャスタウェイがでた! (2018年6月10日 1時) (レス) id: 659241d04f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年3月12日 20時