5話 ページ6
「銀時!」
俺より幾つか年が小さいそいつは、真夏の昼間だというのに、暑さなど感じないとばかりに走り回っていた。
「ガキは元気でいいよな。」
「ガキじゃないもん。」
どこか不貞腐れるように頰を膨らませるそいつはまだやはり子供で。
けれど、俺は子供だと言って、こいつを侮っていたのかもしれない。
「銀時。
戦争、行っちゃうんでしょ。」
悲しそうに下を向くAに、俺は驚いた。
俺はAに攘夷戦争に行くことなど伝えてはいないし、伝える予定もなかった。
伝えずに、攘夷戦争にいくつもりだった。
攘夷戦争に行くと言えば、Aは俺のことを止めるだろうと思ったからだ。
俺が、俺たちが攘夷戦争に行ってしまえば、Aはこの寺子屋に一人取り残されることとなるのからだ。
けれど、松陽を救うためには行くしかない。
「だったら、私も行く!」
だから、俺は更に驚いた。
Aから、攘夷戦争に行くなどという想像もしなかった台詞が飛び出してきたからだ。
Aの目はしっかりと俺を見つめていた。
つい先刻、ガキだと笑った女の目は、俺より遥か先を見据えていたらしい。
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凛 - とても良かったです! (2022年12月20日 19時) (レス) @page36 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - 岩長漆@三色団子と朧大事さん» ありがとうございます!そういったコメントが一番の励みになります!今後も皆さんにお話を届けられるよう頑張ります! (2018年6月11日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
岩長漆@三色団子と朧大事(プロフ) - 突然失礼いたします、岩長と申します!けんそう様の作品読ませて頂き、とても感動しました!次作の方も頑張ってください!応援しております! (2018年6月10日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年2月10日 20時