♛︎episode336＿＿二つの心 ページ46
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結局あのあと私はなんにも言えないままで玲王に枕を回収された。「そんなに好きなら交換しようぜ」って冗談か本気か分からないことを真顔で聞かれた時はさすがに反抗したけど。
そして今は廊下に出た部屋の前で向き合うように立っている。玲王は自分の部屋に、私は絵心と帝襟さんのお見送りに。そんな別れ際の中で、玲王が話を振ってきたのだ。
「A、昨日のことだけどさ……｣
「いい。もうその話はいいから、やめて」
しかし私は、無情にも話を遮った。
その先の言葉を予見したからだ。
「昨日のアレは忘れるから。そっちも精神的に不安定だったし、抵抗しなかった私にも非はある。だから、忘れて。できれば
切実に訴えた言葉に、玲王はなにか言いたげな顔をしたけど、気づいていながらも私はそれを無視して踵を返す。
そして前を真っ直ぐに見据えたまま、もう一度口を開いた。
「今度からは、寝る前にホットミルク持ってってあげる」
「えっ……？」
「それ飲んだら、少しは眠りやすくなるでしょ。いつまでも目の下に隈ぶら下げられてるとこっちの気が滅入んの。……あと、やっぱり
私の言葉に玲王が呆気に取られているような声を出した。背を向けているから表情は分からないけど、きっと驚いた顔をしてるんだろう。
「言ったでしょ、これ以上心配かけさせんなって！ あれ本心だから。……次また食事抜いたら、その時は私が問答無用で口の中に突っ込むから覚悟してろ」
そこまで言ってようやく振り返った私が見たものは、やっぱり想像通りの顔をした彼だった。だけどその顔がなんだか嬉しそうに見えたのは、私の見間違いだろうか？ まぁいいや。
とにかくこれでこの話は終わりだ。
「それと……昨日は私も言いすぎた。酷いこと言って、ごめん｣
それだけを最後に告げると、私は返事を待たずしてくるりと背を向けて、早足で歩いていく。
「(……これでいい)｣
別に、玲王のことをどうこう思っているわけじゃない。ただ、ちょっとだけ罪悪感を感じただけだ。あのまま何も言わずに玲王の前からいなくなってたら、また振り出しに戻るような気がした。だから咄嵯にあんな言葉を吐いた。
でもそれはその場しのぎの台詞なんかじゃなくて、紛れもない私の本音──なんだと思う。
「ありがとな、A！｣
はるか遠くの方から背中越しに聞こえた弾んだ玲王の声。
それに手を挙げ、ひらひらと振ることで応えた私は、気づかれないように小さく微笑んでみせた。
(本当は違うことを言いたかった気がするけど……ま、いっか)
episode337＿＿お見送り→←♛︎episode335＿＿失態
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はもに(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 咲夜さん、初コメ並びに応援ありがとうございます！次回の続編でもご期待添えられますよう精進致しますのでよろしくお願いします❕ (7月15日 15時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 初コメ失礼します更新頑張ってください応援してます (7月14日 19時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - はもにさん» そんな！。全然！。というかお待ちしています、自分も受験生で多分返事返せない時がありますのでお互い同じですよ！。ソレに夏休みの時はいっぱいお話出来ますか？。 (6月9日 21時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - だんごさん。さん» だんごさん、お返事遅くなりすみません。作品を愛読頂きありがとうございます！ぜひ、とお願いしたいところなのですがただ今リアルが立て込んでおりまして、執筆に集中するのが手一杯な状態ですので余裕ができてからお伺いしてもよろしいでしょうか？申し訳ないです (6月9日 12時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - こんにちは！。いつも作品見てました。そのイラストも全て見てました！。初コメですが失礼します。その毎回幸せに見ています。そのボードに話しかけるのはいいでしょうか？。お話したいです！。 (6月4日 17時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年5月27日 14時
