♛︎episode335＿＿失態 ページ45
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「ふぅー……」
冷たい水で顔をバシャバシャして、寝癖を直していたら少しは気分も落ち着いた。
寝てる玲王をどうしようかなって考えつつ、髪を結んで洗面所から戻ると、玲王がベッドの上で頭を抱えて座っていた。
「あっ」
「A……」
顔を上げた玲王と視線がぶつかる。けどそれは一瞬で、どちらからともなくすっと目を逸らした。
「おっ……おはよ、玲王」
「おはよう」
「ぐっすり眠れた？」
「あぁ、すげぇ眠れた感じがする。Aのおかげだな」
「別に私は何もしてない……玲王が勝手に来ただけでしょ」
あらぬ方を向きながら言葉を交わしあう姿は、傍から見れば奇妙な光景だろう。
｢ベッドごめんな｣とか｢身体、痛いよな｣とか、玲王は色々気遣ってくれたけど、私は素っ気ない返事しかできなくて結局お互い、一度も目を合わせようとしなかった。
「顔、洗ってくる」
「……部屋にある洗面所、使っていいよ」
「サンキュ」
ベッドから立ち上がって私の頭に ぽん、っと手を置いた玲王はそのまま髪をくしゃりと撫でると横を通り過ぎていく。
「(玲王相手に、なに緊張してんだ)」
触られた頭を気にしながら、玲王が寝ていたベッドを見下ろして深い息を吐いていれば、ふと、彼の枕が目に止まった。
「こんなところに置いてたら忘れるじゃん。ったくもう」
やれやれと文句を垂れてベッドの脇に置かれていた枕を手に取る。
その瞬間、玲王の香りが仄かに漂い、私の鼻腔をくすぐった。
「…………」
思わず、匂いを嗅いでしまう。
私は無意識に玲王の枕に顔を近づけた。そのままなんとなく抱き寄せてみると、さっきよりも香りが強くなった気がする。
どこか落ち着く、懐かしくも不思議な匂いに思考が溶けそうになって、思わず目を細めた。
「(なんか安心する、かも)｣
玲王が枕を抱きしめたまま寝ていた気持ちがなんとなくわかる気がした。玲王と寝るのは嫌だけど、この匂いに包まれて眠るのは案外心地よさそうだ。
そんな欲張りな感情に支配されて枕に頭を押し付けていると、後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「人の枕でなーにしてんだよ」
ハッとして振り返れば、いつの間にか戻ってきていた玲王が洗面所の扉にもたれかかって私を見下ろしていた。
「へえー、ふうん？｣と意味ありげに呟いて、私と、私が抱きしめている枕を交互に見つめた玲王の口角は、意地が悪そうにつり上がってる。
「あ、あぁ……っ」
見られた。見られてしまった。
背中に滝のような汗が流れて、目が渦を巻くようにぐるぐると回る。
慌てて枕を後ろ手に隠すようにくるっと向きを変えるけど、もう遅い。
「や、これは、その……」
「それ俺の枕だろ？」
「違う！ あ、いや、違わないんだけど違くて……」
「俺の枕だよな？」
「うっ……ん」
玲王はもう一度同じことを聞いてくるけど私は上手く答えられない。
だって本当に何してたんだろう、自分でもよく分からないのだ。でも多分、これって無意識でやってた気がする。だから余計にタチが悪いというか……。
「(って、これじゃ私ただの変態だ!!)」
断じて違う、断じて。
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はもに(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 咲夜さん、初コメ並びに応援ありがとうございます！次回の続編でもご期待添えられますよう精進致しますのでよろしくお願いします❕ (7月15日 15時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 初コメ失礼します更新頑張ってください応援してます (7月14日 19時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - はもにさん» そんな！。全然！。というかお待ちしています、自分も受験生で多分返事返せない時がありますのでお互い同じですよ！。ソレに夏休みの時はいっぱいお話出来ますか？。 (6月9日 21時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - だんごさん。さん» だんごさん、お返事遅くなりすみません。作品を愛読頂きありがとうございます！ぜひ、とお願いしたいところなのですがただ今リアルが立て込んでおりまして、執筆に集中するのが手一杯な状態ですので余裕ができてからお伺いしてもよろしいでしょうか？申し訳ないです (6月9日 12時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - こんにちは！。いつも作品見てました。そのイラストも全て見てました！。初コメですが失礼します。その毎回幸せに見ています。そのボードに話しかけるのはいいでしょうか？。お話したいです！。 (6月4日 17時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年5月27日 14時
