♛︎episode333＿＿寝言 ページ43
✘
「(なに人の布団で勝手に寝てんの
私は少し迷ったあと、持ってたマグカップに口をつけた。少し冷めたホットミルクを飲み干すと、自分の分のマグカップとトレーを重ねて持ち、音をたてないように机に置いた。
そして起こさないよう注意しながらそっと玲王に毛布をかける。
「ムカつく」
私にあんなことしといて、何食わぬ顔で気持ちよさそうに眠る姿を見ると無性に腹が立った。──にも関わらず、起こさずに寝かせたままでいる自分にも嫌気が差す。
「そこ私のベッドなんですけどー」
ほんの仕返しのつもりで、頬を軽く摘んで引っ張った。意外と柔らかい頬っぺたが伸びる様子を見てるとなんだか面白くなってしまって、つい夢中になって引っ張り続けた。
「はは、変な顔」
ふと我に返って手を離したとき、無意識のうちに自分が笑っていることに気づいた。
こんな状況なのに楽しく感じている自分に戸惑いつつ、もう一度だけ玲王の頬を引っ張ってみた。やっぱり柔らかくて触り心地が良い。
もっと触れていたくて今度は優しく撫でてみると、玲王は猫みたいに身動ぎしてそのまま手に擦り寄ってきた。
「A……」
名前を呼ばれて、ビクりと肩が跳ねる。玲王が目を覚ましたのかと思ったけどどうやら違うらしい。……寝言だ。
ホッとして胸を撫で下ろす。
「私の夢見てんの？」
そう囁いて、ベッドの前に座り込んだ。
そのままじっと見つめると、ベッドに投げ出されている玲王の手が目に止まった。なんとなーく手を伸ばして指先に触れてみると、ほんの僅かに握り返されたような感覚があって驚く。
「(まさか起きてる？)」
そう思って顔を覗き込んでみるけど、相変わらず眠っていた。
試しに強く握ってみると、また同じように握り返される。起きているわけではないようだ。
「今日だけ、特別」
私はそう呟きながら、もう片方の手も重ねて包み込むようにして繋いだ。まるで恋人繋ぎみたいな格好になってしまったけど、不思議と悪い気はしなかった。
むしろ心の奥底ではこうして欲しかったんじゃないかと思うくらい安心している自分がいた。
「(なんか、どっと疲れた……)」
この体勢のまま眠ってしまったら、明日体が大変なことになる。わかっていても身体が言うことを聞かない。
船を漕いでいた頭は限界を迎え、やがてベッドに突っ伏した。そして私は誘われるがまま、玲王の寝息を子守唄代わりに ゆっくりと瞼を閉じる。
(おやすみ、玲王)
♛︎episode334＿＿夢現→←♛︎episode332＿＿新たな種
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はもに(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 咲夜さん、初コメ並びに応援ありがとうございます！次回の続編でもご期待添えられますよう精進致しますのでよろしくお願いします❕ (7月15日 15時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 初コメ失礼します更新頑張ってください応援してます (7月14日 19時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - はもにさん» そんな！。全然！。というかお待ちしています、自分も受験生で多分返事返せない時がありますのでお互い同じですよ！。ソレに夏休みの時はいっぱいお話出来ますか？。 (6月9日 21時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - だんごさん。さん» だんごさん、お返事遅くなりすみません。作品を愛読頂きありがとうございます！ぜひ、とお願いしたいところなのですがただ今リアルが立て込んでおりまして、執筆に集中するのが手一杯な状態ですので余裕ができてからお伺いしてもよろしいでしょうか？申し訳ないです (6月9日 12時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - こんにちは！。いつも作品見てました。そのイラストも全て見てました！。初コメですが失礼します。その毎回幸せに見ています。そのボードに話しかけるのはいいでしょうか？。お話したいです！。 (6月4日 17時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年5月27日 14時
