♛︎episode332＿＿新たな種 ページ42
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黙り込んだ私たちの間に気まずい沈黙が流れる。玲王が何か言おうとしている気配を感じたけど、結局なにも言葉にしなかった。
その態度が余計に私の心をざわつかせる。
「(なんで何も言わないの。なんで私より泣きそうな顔してんの。……違う、そんな顔させたいわけじゃないのに)」
感じなくてもいい罪悪感に苛まれた。自分でもどうしていいのか分からなくて、初めての感覚に戸惑った。
ごちゃ混ぜになった色んな感情が波のように一気に喉元まで押し寄せてきて、苦しくて、気持ち悪くて、迫り上がるナニカを押し込むように手の甲で口を塞いで玲王から離れた。
「A？」
「首、痛いから冷やしてくる」
「……なら、俺も」
「ついてこないで！」
玲王の言葉を遮るように叫んだ。でも、ハッとしてすぐに後悔した。
玲王は傷ついた顔をしていたのだ。今までとは違う悲しげな瞳の色を見て、ズキっと胸の奥が軋んだ気がした。
「ごめん。……ついでに飲み物も持ってくるから、待ってて」
早く離れたくて、玲王に背を向けて早足で部屋を出た。
廊下に出て後ろ手に扉を閉めた途端、全身から力が抜けていくのを感じた。そのままズルズルと座り込み、膝を抱え込んで痛む首を押えながら顔を伏せる。
さっきまでの光景がフラッシュバックしてきて、息が詰まりそうになった。
「また、しちゃった……」
一度ならず二度までも玲王にキスを奪われてしまった。嫌なはずなのに、悔しくてムカつくはずなのに、それなのに何故か前のような嫌悪感が湧いてこない。
「(なんで、どうして……)」
私はその先を考えようとする思考を無理やり止めた。これ以上は駄目だと思った。もう戻れないところまで来てしまった気がするけど、まだ間に合うはず。
そう自分に言い聞かせながら、私は自分の身体を抱き締めるように腕を回した。
「(やっぱり、部屋に入れるんじゃなかった)｣
後悔の波が今頃になって押し寄せてきた。
───………
正直、部屋に戻るのが憂鬱だった。
玲王を追い出そうとしなかった数分前の自分を呪う。
このまま食堂で寝てしまおうかとさえ思った。でも、部屋で私を待ってる玲王のことを思うとそんな非道なことできなくて、結局ホットミルクを持って戻ってきた。
「ふぅー……。よし！」
もしかすると帰ってるかもしれない、そんな淡い期待を抱きながら部屋の扉を開けた。
「おまたせ。眠れないって言ってたから、ホットミルクにしたん──｣
気まずい空気をかき消すようにそう言ったけど、言葉は続かなかった。玲王がベッドの上で、事もあろうに私の枕を抱きしめながら体を丸めて、気持ちよさそうに眠っていたからだ。
♛︎episode333＿＿寝言→←♛︎episode331＿＿輪廻
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はもに(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 咲夜さん、初コメ並びに応援ありがとうございます！次回の続編でもご期待添えられますよう精進致しますのでよろしくお願いします❕ (7月15日 15時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 初コメ失礼します更新頑張ってください応援してます (7月14日 19時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - はもにさん» そんな！。全然！。というかお待ちしています、自分も受験生で多分返事返せない時がありますのでお互い同じですよ！。ソレに夏休みの時はいっぱいお話出来ますか？。 (6月9日 21時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - だんごさん。さん» だんごさん、お返事遅くなりすみません。作品を愛読頂きありがとうございます！ぜひ、とお願いしたいところなのですがただ今リアルが立て込んでおりまして、執筆に集中するのが手一杯な状態ですので余裕ができてからお伺いしてもよろしいでしょうか？申し訳ないです (6月9日 12時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - こんにちは！。いつも作品見てました。そのイラストも全て見てました！。初コメですが失礼します。その毎回幸せに見ています。そのボードに話しかけるのはいいでしょうか？。お話したいです！。 (6月4日 17時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年5月27日 14時
