♛︎episode326＿＿以心伝心 ページ36
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「どうせアイツのことだからお前に甘えたりしてんだろ｣
「……そうだぞって言ったら、どうすんの」
焦点の合わないぼんやりとした口調で答えると、はっと息を呑む音が聞こえた。
「別に、どうもしねーよ」
玲王はそう吐き捨てるけど、噛みすぎた唇からは血が滲み出ていて、痛々しくて見てられない。
震えたままの拳に向かって、私は自分の手をそっと伸ばしたけれど、触れる直前に引っ込めてしまう。
「(うそつき)」
だけど玲王はその一瞬に気づいていたようで、中途半端に浮いた私の手を横から攫うようにして掴んできた。
そして驚く間もなく、導かれるがままベッドに沈んだ私の手は、玲王の無骨で大きな手により、すっぽりと覆われるようなかたちで重ねられた。
「玲王？」
すかさず手を引っこめようとしたけど、指と指の間に玲王の指が差し込まれ、握りこまれたことでそれも叶わなくなる。
「離して。私、そういうつもりでやったんじゃないから……っ」
少し強い口調で訴えかけるけど、玲王は聞く耳を持ってくれない。それどころか、逃げ惑う私の指を深く絡めとってくる。
指同士が擦れ合う度に触れた部分が熱くなって「あっ」だとか「うっ」なんて変な声が出てしまう。
「(違う、これは違う。これは、玲王が急に変なことしてきたからで……っ！)」
意識をしたら鼓動は早くなって、左胸がざわついた。
玲王から無理矢理手を繋がされることは、今までに何度もあった。だけど、こんな風に指を絡めた優しい繋ぎ方は、知らない。一度もされたことなかった。
「(やめてよ、今更そんな風に優しくしてこないでよ)」
指先から玲王の気持ちが痛いほど伝わってくる。
私は胸の中に渦巻く正体不明のモヤを追い出すように、玲王から顔を背けた。
そして、ようやく気づいた。
「(震え、てる)｣
玲王の手が、微かだけど震えていたことに。
早鐘を打っていた胸は嘘のように落ち着いて、頭は冷静さを取り戻していく──そして、今まで拒んでいたはずの私の手が、ほんの少しだけ、玲王の手を優しく握り返した。
まったく一瞬の、前後の思慮を忘れた行動だった。
「(私、やっぱり変だ)」
共鳴するように指を絡める玲王の力も少しだけ強くなって、そこからはもう、お互いの存在を確かめ合うかのように、求め合うかのように、指と指を激しく擦り合わせたり握ったりを繰り返した。
ただの手のひらが、お互いの体を繋ぐたったひとつの結び目に変わってしまった。
♛︎episode327＿＿性悪→←♛︎episode325＿＿欠片
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はもに(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 咲夜さん、初コメ並びに応援ありがとうございます！次回の続編でもご期待添えられますよう精進致しますのでよろしくお願いします❕ (7月15日 15時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 初コメ失礼します更新頑張ってください応援してます (7月14日 19時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - はもにさん» そんな！。全然！。というかお待ちしています、自分も受験生で多分返事返せない時がありますのでお互い同じですよ！。ソレに夏休みの時はいっぱいお話出来ますか？。 (6月9日 21時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - だんごさん。さん» だんごさん、お返事遅くなりすみません。作品を愛読頂きありがとうございます！ぜひ、とお願いしたいところなのですがただ今リアルが立て込んでおりまして、執筆に集中するのが手一杯な状態ですので余裕ができてからお伺いしてもよろしいでしょうか？申し訳ないです (6月9日 12時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - こんにちは！。いつも作品見てました。そのイラストも全て見てました！。初コメですが失礼します。その毎回幸せに見ています。そのボードに話しかけるのはいいでしょうか？。お話したいです！。 (6月4日 17時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年5月27日 14時
