♛︎episode325＿＿欠片 ページ35
✘
「適当なとこ座っていいぞ」
体を解放されて落ちた枕を拾った私がそう言うや否や、おぼつかない足取りで歩いた玲王は部屋の中をぐるりと見回すと、ベッドの上に躊躇いなく乗り上げて、壁を背にして座った。
そして私を見ながら" ここに座れ "と、自分の隣を手で叩くのだ。
「いやあの、ベッドに座っていいとは言ってない」
「座るなとも聞いてねぇよ」
「それはそう、だけど」
「なら文句言うな」
「……文句じゃないもん」
ぐうの音も出なくて、押し黙る。
仕方なくベッドに乗り上げた私は、玲王の隣に ぽふん、と腰を下ろして膝を抱えた。
───…………
ベッドに座って数分は経過したと思う。それなのに私たちの間には一切の会話がない。
気になって横目で盗み見るけど、玲王は片膝を立てたまま部屋の奥の白い壁をじーっと見据えてるだけで喋る気配もない。
「(き、気まずい)」
眉間に皺が寄ったり、頭を抱えたりした仕草を見せるから、玲王が今この時も思い悩んでいるのだということには気づいていた。でもそれを安易に聞き出していいものなのか……私は悩んでしまい、口を噤むしかなかった。
「(てかこれ私の部屋にいる意味あんのか？ いや、一応ある……のかな。寂しさ埋める変わり、的な)」
かち、かち、と秒針の音が閑散とした部屋の中に響く中で、自分の膝を見つめたまま時間だけが過ぎていく。
本当にこのまま、何も話さずに終わるのかな──と、そう思った矢先。
「凪の奴、どうしてる｣
独り言のような呟きは、明らかにこの場にいる私へ向けられたものだった。玲王から沈黙を破ったかと思えば、なんとも触れにくい話題を振られて当惑の眉をひそめてしまう。
「急になに」
「急でもねーよ。俺と離れたあとどう過ごしてんのかなって、ずっと気になってた」
「復讐したい相手なのに？」
「だからだよ。憎くて仕方ねーから頭から離れねぇの」
そういうものなのだろうか。男心って複雑で、よく分からない。でも、玲王が凪に対して恨みの感情を募らせている、ということだけは汲み取れた。
細かい字でそこに書かれたメッセージを読み取ろうとするみたいに、私は玲王の横顔を見つめながら言葉を紡ぐ。
「良くも悪くもいつもと変わんないよ、凪は」
「はっ、なんだよそれ。白状過ぎんだろ。気にしてんのは俺だけかよ……クソが｣
前髪を掴むように頭を抱えて自嘲気味に笑った玲王の拳は、行き場のない気持ちを持ち余しているかのように、震えていた。
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はもに(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 咲夜さん、初コメ並びに応援ありがとうございます！次回の続編でもご期待添えられますよう精進致しますのでよろしくお願いします❕ (7月15日 15時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 初コメ失礼します更新頑張ってください応援してます (7月14日 19時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - はもにさん» そんな！。全然！。というかお待ちしています、自分も受験生で多分返事返せない時がありますのでお互い同じですよ！。ソレに夏休みの時はいっぱいお話出来ますか？。 (6月9日 21時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - だんごさん。さん» だんごさん、お返事遅くなりすみません。作品を愛読頂きありがとうございます！ぜひ、とお願いしたいところなのですがただ今リアルが立て込んでおりまして、執筆に集中するのが手一杯な状態ですので余裕ができてからお伺いしてもよろしいでしょうか？申し訳ないです (6月9日 12時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - こんにちは！。いつも作品見てました。そのイラストも全て見てました！。初コメですが失礼します。その毎回幸せに見ています。そのボードに話しかけるのはいいでしょうか？。お話したいです！。 (6月4日 17時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年5月27日 14時
