episode312＿＿刺激 ページ22
✘
「作戦立てるとか連携力高めるとかさぁ、色々あるじゃん」
と、口にしたはいいものの、私の発言が気に食わなかったのか、はたまた地雷に触れてしまったのか、士道の眉間に皺が寄せられた。
かったるい、そう訴えるような顔で見つめられると、突きつけていた指も下へ下へと下がってしまう。
「パスだの戦術だの、だっせぇーことに時間を肥やしてなんになる？本番の
ほんのわずか、士道の眼が警戒するように細められた。
人を値踏みするような瞳の奥には、殺気のようなものが渦巻いていて、気圧された私は追い詰められた小動物のように首を竦めてしまう。
「そこまで思ってない、けど」
「だろ〜？要は時間内にクリアすりゃあいい話だし、俺は俺で気楽にやるさ｣
壁に凭れた士道は、物思いに耽けるかのように天井に向かって長い息を吐く。
「つってもどうせ、このステージにも俺を爆発させてくれるような奴はいねーんだろうから、適当に相手選んで早いとこ上がっちまった方がいいんだろうけど……なーんかいまいち燃えねぇんだわ。刺激も足んねーし、干からびちまいそうだ」
顔から表情が全て抜け落ちた士道は、能面のように無表情だ。どこか遠いところを眺めているようなその目は、世界に自分だけが取り残されたような哀愁を漂わせていて、普段の彼からは想像がつかない雰囲気を醸し出していた。
「最終的に決めるのはアンタらだから好きにしたらいいけどさ、暴力行為はもう勘弁だぞ」
釘を刺した言葉に、頷くでも首を振るでもなく、私に顔を傾けて卑しい笑みを浮かべる士道。
実力は申し分ないのに、毎度暴力沙汰を引き起こすから絵心にも問題視されている。
昨日も、相手選手を蹴り飛ばして一発レッド食らったせいでチームが数的不利になり、負けた。
なのに士道は全然反省していない。
「そんなに言うならマネ子ちゃんが
「ばーか。都合のいい時だけ頼んな｣
軽快な足取りと共に近づけてきた士道の顔を、ぐいっと押し返して、きっぱりとした語気で断った。
その気もなかったくせに｢つれねぇな〜｣と呟く士道の方が、よっぽど意地が悪い。
(つーわけで、暫くお供させてもらうぜマネ子ちゃん♪)
(はいはい。もう好きにすれば？)
episode313＿＿倉庫→←episode311＿＿捕縛
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はもに(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 咲夜さん、初コメ並びに応援ありがとうございます！次回の続編でもご期待添えられますよう精進致しますのでよろしくお願いします❕ (7月15日 15時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 初コメ失礼します更新頑張ってください応援してます (7月14日 19時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - はもにさん» そんな！。全然！。というかお待ちしています、自分も受験生で多分返事返せない時がありますのでお互い同じですよ！。ソレに夏休みの時はいっぱいお話出来ますか？。 (6月9日 21時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - だんごさん。さん» だんごさん、お返事遅くなりすみません。作品を愛読頂きありがとうございます！ぜひ、とお願いしたいところなのですがただ今リアルが立て込んでおりまして、執筆に集中するのが手一杯な状態ですので余裕ができてからお伺いしてもよろしいでしょうか？申し訳ないです (6月9日 12時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - こんにちは！。いつも作品見てました。そのイラストも全て見てました！。初コメですが失礼します。その毎回幸せに見ています。そのボードに話しかけるのはいいでしょうか？。お話したいです！。 (6月4日 17時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はもに | 作成日時：2023年5月27日 14時
