episode309＿＿介護 ページ19
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「おーい世一、いい加減戻ってこーい」
何度呼んでも反応がなかったから、試しに顔の前で手を振ってみる。
そしたらようやく気づいたみたいで、ハッと我に返った世一が目をぱちくりとさせて、私と、手に持ってるコップを見た。
「はぁ、よかった。何回か呼んだのに、世一ってば全然反応しないんだもん。さすがに心配した」
「あー……昨日あんまり眠れなかったから、たぶんそのせいかも。変な心配かけてごめんな」
そう言って世一は、頬をかいてハニカムと、私から顔を背けるかたちで紙コップを押し付けてきた。
おずおずと受け取ると、ほんの少しだけ指先が触れ合う。まあ今更だし、特に気にせず紙コップに口をつけると、世一が自分の前髪をくしゃりと掴んでるのが、フチの間から見えた。
「なに、どうしたの？」
さすがに驚いて顔を上げると、今度は手で風を仰ぎながら「この部屋なんか暑いな！」と言い出した。
明らかに様子がおかしい世一に疑問を抱きながらも、とりあえず換気のためにと、私は部屋の扉を開けた。
「んぎょ!?」
戻って世一の体温を測ってたら、その後ろで凪が梯子から落ちていくのが見えた。どすん、っという鈍い音に驚いた世一が、一瞬肩をビクつかせて後ろを振り返る。
「うっわ、何やってんだよ凪。大丈夫か？」
「大丈夫ー？」
世一に続いて、私も一応かたちだけの声をかけた。
隠す気もない私の棒読みに、世一は苦笑い。そして落っこちた当の本人は、口をバッテンにしてこちらを不服そうに見つめていた。
「いったー。骨折れた、死んだー」
「死んだ人間は喋らないっての」
「死んだけど生き返った。でも肉体は死んでる」
「ならそれゾンビじゃん」
「ナギ・オブ・ザ・デーッド」
190cmもの巨体が、床の上で仰向けに寝転がって呻く姿は、なんていうかシュールな光景だ。
世話をするのが私に変わっただけで、凪本人はいつもと変わらない過ごし方をしてる。不調な玲王を知ってるからこそ、今の二人の温度差には風邪を引いてしまいそうだ。
「いつまでもそんな体勢だと体痛めるぞ、ほら起きる」
「起きるの面倒臭ーい。起こしてー」
「子供かっ！あーもう、世話が焼けるんだから！」
「おー。楽チン楽チン」
こうやって上体を起こさせるのにも一苦労。弱みを握られているから仕方なくやってるとはいえ、これじゃただの介護だ。
起き上がっても胡座をかいて、またゲームを始めた凪に半ば呆れながら、私は体温を測った。
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はもに(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 咲夜さん、初コメ並びに応援ありがとうございます！次回の続編でもご期待添えられますよう精進致しますのでよろしくお願いします❕ (7月15日 15時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 初コメ失礼します更新頑張ってください応援してます (7月14日 19時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - はもにさん» そんな！。全然！。というかお待ちしています、自分も受験生で多分返事返せない時がありますのでお互い同じですよ！。ソレに夏休みの時はいっぱいお話出来ますか？。 (6月9日 21時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - だんごさん。さん» だんごさん、お返事遅くなりすみません。作品を愛読頂きありがとうございます！ぜひ、とお願いしたいところなのですがただ今リアルが立て込んでおりまして、執筆に集中するのが手一杯な状態ですので余裕ができてからお伺いしてもよろしいでしょうか？申し訳ないです (6月9日 12時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
だんごさん。(プロフ) - こんにちは！。いつも作品見てました。そのイラストも全て見てました！。初コメですが失礼します。その毎回幸せに見ています。そのボードに話しかけるのはいいでしょうか？。お話したいです！。 (6月4日 17時) (レス) id: 3c436fb16b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年5月27日 14時
