♛︎episode250＿＿出会す ページ10
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扉を隔てた奥から一人分の足音が聞こえてくる。十五人目の通過者によるものだ。私は用意したタオルとドリンクを手に持って、通過者を出迎えるために扉の前で待ち構えていた。
「(もう大丈夫、大丈夫)」
ゆっくりと深呼吸を繰り返す。
数分前まで頬に流れていた涙はもう枯れた。
どのくらい泣いていたのかは分からない。数十分経っていたかもしれないし、ほんの数分のことだったかもしれない。どちらにせよ私にはその時間が長く感じられた。
因みに、玲王が最後まで配慮をしてくれたおかげで他の通過者に私が泣いていたこともバレずにすんだ。
『もう邪魔しねぇから仕事、頑張れよ』
そう私に告げて、玲王は凪の元に戻った。
いや邪魔してた自覚あったんかい、なんてツッコミは心の中に留めた。
深呼吸を止めて、ちらりと後ろを振り返る。部屋の奥で壁に背中を預けながら凪と話している玲王を見つめた。
すると私の視線に気づいた玲王が控えめに手を上げて微笑んだ。隣にいる凪が やれやれと呆れた顔をしてるけど、たぶん気づいてない。
さっきまで真剣な顔して私に謝っていた面影は今はもうなくて、すっかりいつもの玲王に戻っていた。
「好きになんて、なるわけないじゃん」
眉間に皺を寄せて抑揚のない声で呟く。
そして、すっ、と玲王から目を逸らした。
とにかく今は気持ちを切り替えよう、仕事だ仕事。「よしっ！」と、声に出してタオルを持つ手でガッツポーズを決める。私なりの気合いの入れ直し方だ。
扉が開いたのは、それとほぼ同時の出来事だった。
──その時は突然やってくる。
「A？」
「よい、ち」
予期せぬ再会に二人して固まった。
世界中の時間が止まってしまったのではないかと錯覚するような、言いようのない静けさが私たちの間に流れ始める。
瑠璃色の目を二倍ほどの大きさにまで見開かせて私を凝視している世一。その世一を穴の開くような目で見つめる私。ぎこちない沈黙が暫くそこに続いた。
「と、とりあえず入りなよ」
黙っているのが無気味になって、私は沈黙を破りたいばかりに中に入るよう促した。しかし世一は返事一つしないまま部屋の中へと足を踏み入れた。
「(無反応はないだろさすがに！)」
世一の態度にムッとする一方で、近づいた距離に私は思わず後退る。その際に世一の片眉が僅かにピクリと動いた気がした。おそらく見間違いではないだろう。なぜなら私も自分の行動に頭を抱えていたからだ。
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はもに(プロフ) - 瑞稀さん» 瑞稀さん、コメントありがとうございます。玲王と凪のすれ違いは見てて辛いものがありますよね…。寵マリはさらに輪をかけてなのでこれからの玲王の行動にも注目して頂けると幸いです！ (2023年4月28日 20時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - れ玲王〜〜ほんとこのコンビは言葉足らずが、、玲王の精神状態原作の数倍やばそう (2023年4月19日 3時) (レス) @page21 id: 3f4ee46d03 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - ヤマシタ恋白さん» ｱ~~~~ヤマちゃんだ！！！ツクからご感想貰えるなんてはもに感激です、、！！お礼を言うのは私の方だよ~~~仲良くしてくれて本当にありがとね、お祝いのお言葉も感謝ですᵕ̈* これからも寵マリ共々よろしくしてくれると嬉しいです💕 (2023年4月14日 1時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 青さん» 青さん、お祝いのお言葉ありがとうございます！ここから玲王と神崎の関係値が大きく変わるキッカケになるお話でしたので楽しんで頂けたようでとても嬉しいです。これからもご期待に添えられるよう尽力致しますのでよろしくお願いします🥰 (2023年4月14日 1時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、いつも真っ先にコメントしてくださり本当にありがとうございます！Twitterの方もフォローしてくださっていたなんて感激です、、！！番外編もご愛読されてると聞き、活力が湧きました！！これからも何卒、引き続きよろしくお願いします‼️ (2023年4月14日 1時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年4月11日 18時
