episode125＿＿悔恨 ページ29
✘
「(なんで、なんで！)」
モニタルームを飛び出した私の足は、自然と第七試合が繰り広げられてるフィールドに向かっていた。何も言わずに出ていってしまったから、あとでまた絵心に怒られちゃうな、なんて呑気なことを考えていられるほど私の頭は冷静じゃない。
──『マネージャー、俺、勝ちたい』
──『うん。まぁ、そりゃあそうだよね』
──『……勝ちたいんだ、本当に』
──『別に疑ってないぞ？』
チームZの祝勝会後に交わした、久遠との会話が蘇る。らしくないと、思ってた。チームYに勝てたのにどうしてそんな事を突然言うのだろうと、その時は不思議で堪らなかった。
きっと久遠は前から裏切りの計画を企ててたんだ。だけど、ほをの一瞬でも、その気持ちをマネージャーの私に吐露したのは、躊躇いがあったからなんじゃないか。
やるせない気持ちで胸が苦しくなる。
「(あー もうクソ！バカか私は！なんであの時言及しなかったんだよ、悩んでたのに、アイツはずっと抱え込んでたのに！マネージャーなら 選手の気持ちに気づけよちくしょうッ!!)」
千切にも久遠にも、歩み寄る機会はいくらでもあったはずなのに。見て見ぬふりをした自分が悔しくてたまらない。その結果、久遠は悩んだ末に裏切りっていう選択をした。
あの時話をちゃんと聞いてあげられたら、なにか、なにか変わっていたかもしれないのに。募るのは後悔だった。
───……
試合会場に着いて、思った。
私がここに来て 何になるんだろう、と。何ができるんだ、フィールドの外からただ見てることしか出来ないマネージャーの私が。そんなに走ってないのに、動悸がした。激しく肩で息をしながら、胸を押さえて呼吸を整える。
「何も、出来ないじゃん、クソッ」
次から次に流れてくる額の汗をジャージの裾で拭って、顔を上げた。フィールドの中では依然として苛烈な戦いが繰り広げられている。ふと、得点板の方を見ると4-3と表示されていた。私がここに来るまでの間に、チームＷが勝ち越してた。
「久遠……」
世一からボールを奪って、攻め上がる久遠の姿を見て「あぁ、本当に裏切ったんだ」と現実を突きつけられた。脱力、とは違う、腰が抜けるようなこの感覚。狂気じみた笑みを頬に浮かべて走る久遠の顔は、すごく生き生きしてる。
「裏切ってでも勝つ！それが俺の
私の知る久遠渉は そこにはもう、いなかった。
(それがアンタの出した答えなんだね、久遠)
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はもに(プロフ) - かっぱさん» かっぱさん、はじめまして！励みのコメントありがとうございます。一番なんてお言葉頂けて感無量です、、❕これからもご期待に添えられますよう頑張りますᵕ̈* (2023年2月20日 0時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - このお話本当に大好きで、一番気にいってます♡これからも応援してますね!! (2023年2月19日 21時) (レス) @page49 id: 3275caf583 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 七子さん» 七子ちゃん、感想投げてくれてありがとう❕ ちょっとドギマギの三角関係ではあるけれど、話の落とし所はちゃんと決めてるので見守ってもらえると嬉しいᵕ̈* いつも応援してくれて励みもらってます！これからもよろしくね❣️ (2023年2月17日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
七子(プロフ) - 潔が好き⁈⁈⁈そんなの…そんなのあんまりよ‼︎二次創作でレオと存分にイチャつかせてやるんだから（現実逃避） (2023年2月15日 21時) (レス) @page35 id: 749c6d74de (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、初めまして！繰り返し読んでいただけてるという事実に感極まってしまいました🥲ここ最近更新の時間帯が不定期ですが、引き続き頑張っていきたいと思います！応援ありがとうございます🙇♂️とても励みになりました！ (2023年2月13日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年2月7日 18時
