episode116＿＿真髄 ページ20
✘
「……うーん」
あれからチームXの選手達から寄せられた相談、というなの不満の捌け口にされた私は 現状を黙って見過ごすわけにも行かず、今、馬狼の元へ向かってる。
彼がどこにいるのかなんて おおよそ見当はついていた。意外と規則正しい生活をしてる馬狼は、朝は決まって個人練習をしている。だからチームXの練習場に訪れた。
「やっぱりいた」
「あ？」
走り込みをしていた馬狼が、私の存在に気づいて立ち止まる。「また一人で特訓？」全身汗まみれで上半身裸の馬狼に向かって来る途中に持ってきたタオルを投げた。「失せろ能無し」キャッチしたタオルで汗まみれの顔を拭いながら私に吐き捨てる。
「そういうわけにもいかないの。あんたへの苦情、いっぱい預かってんだから。せめて午後のミーティングにはちゃんと顔だしてよ。今日の試合の戦術を話し合っ＿＿」
「聞こえなかったか？失せろっつってんだよ。ミーティングには行かねぇ。俺は俺のやりたいように動いてゴールを決める、そんで勝つ。それだけだ」
私の言葉を遮って、馬狼はタオルを投げ捨てる。全く聞く耳を持たないその態度に 私の心もざわついた。捨てられたタオルを拾い上げて、背を向けて歩き出した馬狼に向かって叫ぶ。
「それが通用しかったからチームＷに負けたんでしょ！どうしてそこまで自分のゴールに固執するの！」
「あ？んなもん俺が
踵を返して、迫り来る馬狼。一歩、また一歩と近づいて来るから、私は彼の放たれた威圧感に思わず後退りをしてしまう。
「世界一のストライカーになるためだけにこの場にいる俺が、なんで実力もないクソ下々共の為に気を遣わなきゃなんねぇんだ、あぁ？俺は俺のエゴに従って勝ち上がる。信念を曲げる気はねぇ。
「……わかってるよ、そんなこと」
馬狼の言うことは最もだ。ぐぅのねも出ない。世界一のストライカーになる為だけに集められて、競い合っているのだから 本来なら敵である名ばかりのチームと一緒に勝ち上がるなんてこと自体、馬鹿げた話なのかもしれない。
「……馬狼の言ってることは正しいよ。でも、もう少しやりようがあるんじゃないのって話！仲間に最低限のパスを出すぐらいはしなさいよ」
馬狼に譲れない思いがあるように、私にも譲れないモノがある。助けを求めて懇願してくる選手を、見て見ぬふりなんかできない。
episode117＿＿権化→←episode115＿＿悲壮
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 604人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はもに(プロフ) - かっぱさん» かっぱさん、はじめまして！励みのコメントありがとうございます。一番なんてお言葉頂けて感無量です、、❕これからもご期待に添えられますよう頑張りますᵕ̈* (2023年2月20日 0時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - このお話本当に大好きで、一番気にいってます♡これからも応援してますね!! (2023年2月19日 21時) (レス) @page49 id: 3275caf583 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 七子さん» 七子ちゃん、感想投げてくれてありがとう❕ ちょっとドギマギの三角関係ではあるけれど、話の落とし所はちゃんと決めてるので見守ってもらえると嬉しいᵕ̈* いつも応援してくれて励みもらってます！これからもよろしくね❣️ (2023年2月17日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
七子(プロフ) - 潔が好き⁈⁈⁈そんなの…そんなのあんまりよ‼︎二次創作でレオと存分にイチャつかせてやるんだから（現実逃避） (2023年2月15日 21時) (レス) @page35 id: 749c6d74de (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、初めまして！繰り返し読んでいただけてるという事実に感極まってしまいました🥲ここ最近更新の時間帯が不定期ですが、引き続き頑張っていきたいと思います！応援ありがとうございます🙇♂️とても励みになりました！ (2023年2月13日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はもに | 作成日時：2023年2月7日 18時
