episode117＿＿権化 ページ21
✘
「誰かの得点のためにパス出すくらいなら負けた方がマシだ」
「……負けたら、終わりなんだよ」
「終わるのはアイツらだけだろ。俺は得点王として勝ち残る」
それ以上何も言い返せなくて、奥歯を食いしばった。
どこまでも
「そんなこと言ってるようじゃ、この先あんたは絶対勝ち上がれない。自分の
「あ？」
──それは、口から自然と溢れた言葉だった。私自身も、勝手に出た台詞に戸惑った。だけど一度口にした言葉なんて撤回できるわけが無い。額にいくつもの怒筋を浮かべた馬狼によって、私は勢いよく胸ぐらを掴まれた。
「てめぇ誰に向かってもの言ってやがる！マネージャー如きのお前が、俺のことを知ったふうな口利くんじゃねぇ」
「く、苦しい……ッ離せ、ばか！」
「離してほしけりゃ撤回しろ」
「イヤ、だ！」
首元が締まって苦しい。撤回すれば楽になるのに、強情な私は、それでも首を横に振った。生理的な涙が浮かんできそうになるけれど、泣くなんて真似は絶対にしたくなくて、堪えるように睨みつけた。そんな私を見た馬狼は 罰の悪そうな顔で舌打ちをして、掴んでいた胸ぐらを離した。
「二度と俺に指図するんじゃねー」
「ま、待ってよ馬狼！まだ話は終わってない、このままじゃチームが瓦解する！もっとあんたが孤立するの！」
再び背を向けて歩いて行く馬狼を引き止めようと声をかける。───刹那、転がっていたボールを馬狼が私めがけて打ち放った。全てがスローモーションに見えて、気づいた時には豪速のボールが、私の顔の横をスレスレに通り抜けていた。
恐る恐る振り返る。ボールはゴールネットに突き刺さって、今もネットがユラユラと揺れていた。間近で感じた馬狼のシュートに気圧されて身体が震える。
「次は当てるぞ」
「……ッ馬狼！」
ボールを脇に抱えた馬狼が遠ざかっていく。
──あぁ、ダメだ。今の私と馬狼の関係値じゃ説得なんかできっこない。ううん、そもそも説得自体間違ってたんだ。懇願してきたチームXの子達に、面目が立たない。結局役に立つことができなかった自分が悔しくて、やるせなかった。
(……バカ野郎)
♛︎episode118＿＿様子→←episode116＿＿真髄
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はもに(プロフ) - かっぱさん» かっぱさん、はじめまして！励みのコメントありがとうございます。一番なんてお言葉頂けて感無量です、、❕これからもご期待に添えられますよう頑張りますᵕ̈* (2023年2月20日 0時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - このお話本当に大好きで、一番気にいってます♡これからも応援してますね!! (2023年2月19日 21時) (レス) @page49 id: 3275caf583 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 七子さん» 七子ちゃん、感想投げてくれてありがとう❕ ちょっとドギマギの三角関係ではあるけれど、話の落とし所はちゃんと決めてるので見守ってもらえると嬉しいᵕ̈* いつも応援してくれて励みもらってます！これからもよろしくね❣️ (2023年2月17日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
七子(プロフ) - 潔が好き⁈⁈⁈そんなの…そんなのあんまりよ‼︎二次創作でレオと存分にイチャつかせてやるんだから（現実逃避） (2023年2月15日 21時) (レス) @page35 id: 749c6d74de (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、初めまして！繰り返し読んでいただけてるという事実に感極まってしまいました🥲ここ最近更新の時間帯が不定期ですが、引き続き頑張っていきたいと思います！応援ありがとうございます🙇♂️とても励みになりました！ (2023年2月13日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年2月7日 18時
