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「今度可笑しな事をしたら,私,死にますよ。毒物だって,持ってるんですから」
最近,Aは可笑しい。
何があったのか,私には分からないが,彼女は生と死についてずっと考え込んでいる。
生と死について,なんて其のまま云えば何か大学の研究内容のように聞こえなくもない。だが,そんな聞こえの良いものではない。
この前,私は亦川に飛び込んだ。勿論自 殺の為だ。此迄にも,何度か川に飛び込んだし,彼女を誘ってみた事もある(軽くかわされたが)。
なのに,最近は死のうとするだけで「私は死にます」と云い,何やら怪しげな小瓶をちらつかせるのである。
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太宰さんが死ぬのなら,私も死にます。
もう一人にしないで欲しいのです。
私は奥名修一に於いて往かれました。
太宰さんが死ぬときは,私の死ぬときなんです。
譬,太宰さんが私から離れていこうとも,私は太宰さんから離れません。
其れほどに,彼を愛して仕舞ったのです。
狂っていると云われても構いません。
頭が可笑しいと云われても構いません。
何とでも云えば良いじゃないですか。
太宰さん,如何やら私は貴方から離れられないみたいです。
いえ,離れるものですか。
私にだって
死ぬ気で私は,恋愛をしているのであります。
だから,どうか先に逝かないで。
此が私の御願いです。
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作者名:妃有栖 | 作成日時:2017年6月19日 21時