肆拾捌 ページ7
「いえこれは普通に自分でやった実験の痕です」
「いや実験ってなんだ？」
「趣味です」
「なんだ趣味とは！」
「そんなことより昨日の妃の葬儀で見た遺 体は顔がただれて髪が抜けていましたおそらくこの茸の毒によるものでしょう」
壬氏の話によると亡くなった静妃は親の権力を笠にきる良くない噂の絶えない人物だったらしい
しかし一年前突然顔がただれ声すらまともに出せなくなった
病で気落ちし人が変わったように大人しくなった妃は前年に同じ症状になった下級妃もいたことから帝の計らいで後宮に留まることになった
「そして今回の食あたりだ」
『静妃の侍女たちは皆口を揃えて気位の高い妃が自分の存在を許せず毒を含んで自 殺したと証言した』
「それで毒の入手先が知りたかったというわけですか？」
「ああ」
「静妃は毒茸を口にして死んだということですね」
「そうだ」
「だとするとおかしいですね、この茸は食べると腹痛や嘔吐
や痺れを引き起こし口の中にも炎症を起こします。ですがそれが顔にまで広がるとは聞いたことがありません」
「それは本当か？」
「ええ、遺 体の顔の腫れはまだ新しい物に見えましたあのただれは毒茸を顔に擦り付けでもしないと…」
手を組み考えている猫猫に壬氏が近付き声をかけた
「どうした、言いたいこたがあるのなら言ってみろ」
「数日時間をいただけませんか？できれば力があって口が堅い宦官を数名貸していただきたいのですが」
「行けるか？」
壬氏は高順にそう聞くとコクリと頷いた
「言っておきますが確信はありませんよ」
「そらでもやれ」
「わかりました」
＿＿＿＿
そして数日後猫猫は、宦官と共に北側へ向かった
「それではここを掘っていただけますか？」
「はい」
すると土のなかから異臭がし宦官たちは鼻を摘みながら掘った
「これが証拠というわけですか」
そこには包帯と布で覆われた白骨化した遺 体があった
.
作者のメルです
この小説の一話目で猫猫を横抱きにした壬氏が慣れていると
言いましたが、本来の原作であれば足を怪我して意識を失った猫猫を壬氏が横抱きにしていますが、この話では猫猫では無く、Aを横抱きにしています。同じくらいの背丈の男を
持てるとは火事場の馬鹿力の様ですね。
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作者名：ゆら | 作成日時：2024年4月3日 14時
