Episode 5 ページ8
幸い、渋滞に巻き込まれることもなく車は進む。先程の車の山が嘘のように、楽に道を走ることができた。
｢そういえば、君は一人なのかい？｣
花京院がAに先程の質問をする。
Aは二度瞬きをすると、俯き、答えた。
｢実は、どうやって自分がここに来たのか、全くわからないんです｣
｢え？？｣
花京院は間抜けな声を出す。
そりゃそうだ。何を言ってるんだこいつは、という反応が一番正しいのだから。
｢あの…えっと…伝えたいことがありすぎて…あ、次を左折です！｣
｢あ、あぁ｣
完全なるキャパシティーオーバーである。この数十分の間に色々なことが起こりすぎた。年端の行かぬ少女にとって、今自身に起きている事態は大きすぎた。
｢…君、スタンド使いか？｣
｢え？す、すたんど…？｣
突然、花京院の口から聞き覚えのない単語が飛び出る。いや、｢スタンド｣は聞いたことがあった。｢立つ｣という意味。
しかし、｢スタンド使い｣とは？
｢えっと、立つのがベテラン並みに素早い人の事ですか…？｣
｢え？｣
｢え？｣
お互いに頭にクエスチョンマークを浮かべる。
｢いや、分からないならいいんだ｣
｢そ、そうですか…？｣
後ろ髪引かれながらも、あ、右です、とまたナビゲートに戻った。
｢あ、ここを左に曲がれば、ポルナレフさんがいたところです！｣
Aが最後の指示を飛ばす。
花京院は思い切りハンドルを回した。
｢マズい！｣
｢ひぁっ…！｣
目の前に広がる光景に、思わず驚きの声が零れる。
無残に散ったガラス。あたりに飛び散る血しぶき。そして、対峙する二人の男。
周りの少数の人間が見物していたのは、二人の男の殺し合いだった。
｢ポルナレフさん！｣
Aが車内で叫んだ。
｢あっ…あれは！｣
遠くにアヴドゥルが地面に倒れ込み、血溜まりを作っているのが見え、花京院は言葉を失う。
花京院はすぐに車を停車させ、降車した。Aに｢ここで待っていろ｣と釘を刺してから。
車内で花京院の悲痛な声を聞いていた。
本当に悲しそうな声を。
｢ほら、今に目を開けるぞ…！｣
大量の血を流しながら気を失っているアヴドゥルを抱え、花京院が揺さぶる。
もう手遅れなのかもしれないのに、花京院は相変わらず悲しげな顔をみせないよう、いつもの口調で話しかけていた。
しかし、アヴドゥルは目を開けることはなく、力の抜けた体を花京院に揺さぶられるだけだった。
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東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» 応援ありがとうございます！頑張ります(*^^*) (2018年9月15日 0時) (
レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - 頑張ってください！(^^) (2018年9月14日 21時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» わあああい！！ありがとうございます！嬉しいお言葉頂きました！これからも何卒宜しく御願い致します(´ー`＊) (2018年9月3日 14時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - この作品大好きです！僕もこんな神作書いてみたい(´･_･`) (2018年9月3日 10時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます！そんな勿体ないお言葉を……！ありがとうございます、励みになります( ＾P＾) (2018年8月27日 22時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲 | 作成日時：2018年2月6日 19時
