轟くんは仲間 (ページ10)

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99話ページ10

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特に怪我もしていなかった私はスタジアムの外に出て、新鮮な空気を吸うことにした。

ああ、ダメだ。ちょっと取り乱した。

壁にもたれかかっていると遠くから足音が聞こえる。

視線だけ横に移すと見慣れた顔があった。

「……おい」

『……どうしたの、轟くん』

「お前らしくねぇ」

『？』

「俺に、なりたいヒーローになろうなんて言っておきながらなんつー顔してんだよ」

『！』

目ざといなぁ、轟くん。

「今お前は何を見てる、何を考えてる」

『……お父さんとおか……「お前の。お前の試合だろ」』

「お前の個性で今、お前は戦ってる。
違うか」

痛いところを正論でついてくる轟くん。

『あはは、参ったなぁ……ありがと轟くん。
目、覚めた』

「……雷風はそうやって笑ってた方がいい。
お前の餅食いながら幸せそうに笑ってる顔の方が、俺は好きだ」

予想外の言葉に目を開ける。

「…………俺も自分自身に迷いがねえって言ったら嘘になる」

『……うん』

「でも、いつも真っ直ぐ俺に向き合ってくれたお前には、応えたい」

『……うん』

「次の試合、本気で来い。お前のそのモヤモヤ、全部受け止めてやる」

『カッコイイねぇ……轟くんは。

私も、轟くんのその悩みも全部取っ払うような風送り込んだげるから。
全力できてね』

「おう」

轟くん、君はほんと最高の仲間だよ。

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