轟くんは仲間 (ページ5)

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94話ページ5

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轟 side

【嫌だよ、お母さん……僕……僕お父さんみたいになりたくない！
お母さんをいじめるような人になんて、なりたくない！】

【でも、ヒーローにはなりたいんでしょ？
いいのよ、お前は＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿】

【お母さん、私……変なの。
子供たちが……日に日にあの人に似てくる……。
焦凍の……あの子の左側が……

時折とても、醜く思えてしまうの……！】

今でも鮮明に覚えている。
酷く醜いものを見るような、母さんの目を。

俺は……俺は親父を……………………！！

「親父を……「君の！！力じゃないか！！」」

【いいのよ、お前は。
血に囚われることなんかない】

【なりたい自分に、なっていいんだよ】

【轟くんの炎と氷でしょ】

【轟くんのなりたいヒーローになろうよ。
轟くんのなりたいヒーロー、見せてよ】

【私は轟くんの個性好きだよ】

いつの間にか、忘れてしまっていた母の言葉。

聞こえていないフリをしていた雷風の言葉。

「こ、これは………………！！」

バカだろ、緑谷……！！

右に降りかかっていた霜が溶け、左に熱を感じる。

その怒りの矛先は、紛れもなく自分。

その怒りに任せて今まで抑えてきた左の個性を発動した。

視界の端で捉えた観客席にいた雷風の顔が、なんだか穏やかに笑っているように見えた。

お前も緑谷もほんと……なんでそんなに真っ直ぐなんだよ。

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