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sgi side
須「すみませーん、物資配達に来ました〜」
門の前でそう叫ぶと、重そうな扉がギギギ…と開いた。
「許可証の提示をお願いします」
門番にお決まりのセリフを言われ首に下げてた許可証を見せる。許可が出ると物資を台車からトラックに乗せ替え中心地へと進む。
須「河村さーん、物資配達の須貝でーす」
河「ああ。いつもありがとうございます」
須「いえいえ。これないと生活できないでしょ」
河「おっしゃる通りです。そのうち内地だけで自給自足できればと思っているんですが」
なかなか難しくて、と息を吐く河村さんはオメガの名に恥じない美しさだ。
須「いつも思うんですけど、俺はここに入ってもいいんですか?」
河「貴方のことは信用してますよ。何か変な動きを見せない限りは……ね」
須「こっわ」
茶化したようにそう言うと、「まあ、貴方は真面目ですから大丈夫でしょうけど」と返ってきた。
須「そういえば、面会申込つっぱねたんだって?」
そう聞くと、河村さんの動きがピタリと止まる。「どこでそれを?」と聞かれたので「風の噂かな」と曖昧に答えておいた。
河「会ったところで話すことなんてない。僕はオメガの頂点ですから。オメガ至上主義を掲げている箱庭の主が、私情でアルファに会うなんてこと……あってはならない」
須「肩書とか立場とか、そういうの全部取っ払ったら会いたいって思う?」
河「………まさか。僕みたいな奴、あいつの隣にいるべきじゃない」
憂いを帯びた目でそう言う河村さんは、どちらかというと自分を下に見ているようだった。
須「ふくらさんが自分に見合わないんじゃなくて、自分がふくらさんに見合わないと?」
河「貴方の言う風の噂は、アルファの名前まで聞こえてくるのかな?」
それ以上聞くな、と言われているようだった。諦めて話を切り上げると最後にぽつり、河村さんが呟いた。
河「今の僕がふくらに会うことはないよ。でも……そうだね、もし中学の時からやり直せるなら、僕はまだあいつの隣にいたかもしれない」
詳しく聞く前に「じゃあまた」と言われてしまい、俺は出ていくしかなかった。
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雪音(プロフ) - ゆーふぉ。さん» 恋人編も書きたいしsgi氏メインの話も書きたい(文才が追いつかない) 供給……待ってる…… (2020年11月27日 19時) (レス) id: e88b8137a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉ。(プロフ) - 雪音さん» 恋人編もありありのオオアリクイ。供給全力待機してまし…() 僕もお話書かねば…供給を返さないと…() (2020年11月27日 14時) (レス) id: e1ece1687e (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - ゆーふぉ。さん» これは設定が秒で思いついたのに形にできないまま数ヶ月放置してたやつだから解決させられてほっとしてるわ……続編も書けたら書きたい所存 (2020年11月26日 23時) (レス) id: e88b8137a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉ。(プロフ) - ゆっきまじ天才じゃん。なにこの神設定。オフィスの壁になりたいとこれほどまでに思ったことは無i((((( (2020年11月26日 23時) (レス) id: e1ece1687e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪音 | 作成日時:2020年11月25日 7時