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第三一話 如何 ページ31

「じゃあAちゃん、触れてみ給え」

国木田さんが具現化した拳銃を指し示して、太宰さんはそう云った。


「あ、ついでに異能力名も教えてよ」

乱歩さんが身を乗り出してせがむ。


……どうしよう。

異能力名なんて判る筈が無い。

国木田さんが急かす様な目で此方を見ていて、考える余裕も無い。



……もう、ヤケだ。

適当に即興で云おう。


国木田さんの持つ拳銃に触れる。



「い、異能力……」



口を開く。


……すると、操られる様に口が動いた。

自分の意思とは関係無く。





「……『宵のばけもの』」


……よいの、ばけもの?

自虐してる様な名前だと感じるのは気の所為だろうか。




「……」





「……変化が無い」

「どうやら、異能力には効かないらしいな」

「善かったじゃん太宰」

「……そうですね」

何が、と尋ねようとすると、太宰さんはぱんっと仕切り直す様に手を叩いた。






「まぁ、此れでAちゃんの異能力の事は粗方判った訳だけど」

「もう1つ聞きたい事があるんだよね」


そして1度瞼を閉じ、ゆっくりと開く。


空気が、変わった。



「君はさ」



長く密な睫毛の向こうの瞳は、暗い闇を湛えていて、ぞくりと背筋が伸びる。


「……何で、ポートマフィアに入ったんだい?」

「Aちゃんは、人を殺めるなんて好まないだろう?」


……元マフィアだからこそ、気になるのだろうか。


「……芥川さんに、路地裏でふらついてた処を拾ってもらったんです。自分でも判らなかった異能力の事も教えてもらって、それで、マフィアに入らないかって……」

「……拒否しなかったの?」

敦くんが訝しげにそう問う。

「と云うか拒否権無かったでしょ」

乱歩さんに鋭く図星を突かれた。


「……其れもありますけど」

苦笑して肯定し、言葉を続ける。


「……最初は、嫌だったんです。ポートマフィアって『悪』の代名詞みたいなものですし。
だけど、沢山の人が優しくしてくれて、
それで……………………あっ」


……ばか。

絆されすぎだ。


……喋りすぎた。





「……其れは」


国木田さんが険しい声で何かを云おうとする。

聞き逃さない様に、耳を傾けた。


……心の何処かの、『聞いてはいけない』と云う叫びを無視して。











「……お前の異能力が目当てなだけでは無いのか?」


























「……え?」

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(プロフ) - 二つ結びの人さん» ありがとうございます…!励みになります! (2018年3月31日 10時) (レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
二つ結びの人(プロフ) - こんばんは!!とっっても面白いです!!!この先が凄く気になります!これからも頑張ってください!!! (2018年3月28日 0時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 碧灯さん» 返信遅れてすみません…!そうです!住野よるさんの「よるのばけもの」をモデルにしています (2018年3月23日 22時) (レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
碧灯(プロフ) - 初コメ失礼します! 質問なのですが、主人公の名前と異能力って 住野よる さんをモデルにしていらっしゃいますか? (2018年3月16日 19時) (レス) id: 391be2aaba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年8月13日 12時

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