第二八話 感受 ページ28
こう云う時、どうすれば善いんだろう。
今僕の横では、パーカーを羽織った女の子―――Aちゃんと云うらしい―――がぽろぽろと泣いている。
立ったまま、涙を拭おうともせずに。
寝台から彼女の潤んだ瞳が善く見え、背徳感を感じてどきりとした。
……まさか、謝られるとは思いもしなかった。
此の子はマフィアではないんだろうか？
｢ええっと……｣
Aちゃんは僕の困った様な声を聞いて、一層苦しそうな顔をした。
｢…………もう、泣かないで｣
上体を起こして、彼女の頭をふわりと撫でてみる。
身体をぴくりと反応させ恐る恐る僕と目を合わせる様子は、とても幼く見えた。
｢っでも……！ 私、貴方の事、傷付けた……
殺し、かけた……！｣
瞳の奥は、深淵を覗き込んだ様に暗く。
まるで、自分から醜い罰を望んでいる様に。
自分を貶し続ける。
｢……なーんか予定狂っちゃったねえ、国木田君？ 冷酷無欠な子だと思ってたのに｣
｢嘘。察してた癖に｣
｢あ、バレてました？ いやぁ、やった後凄く後悔してるみたいでしたから｣
｢……あれだけの事をやったのだから謝るのは当然だろう｣
｢国木田君ってば素直じゃないねぇ。彼の殺戮を厭わない『ポートマフィア』であろう子が『人を傷付けた事を悔やんで謝ってる』んだよ？ すっごく驚いてる癖に｣
｢……｣
｢あ、国木田、先云っとくけど演技とかじゃないよあれ。見たら判ると思うけど｣
｢…………｣
｢……ふふ、優しい子だねぇ、彼の子｣
そんな上司達の会話は、彼女の耳には入っていない様だった。
｢……僕も、過ちを犯した事は何度もある｣
｢でも、其れを悔やむ気持ちがあるなら、皆受け止めてくれたんだ｣
｢……｣
｢……だから君の過ちは僕が受け止める、から…………もう、泣かないで｣
Aちゃんは涙を拭って、苦しそうにこくりと頷き、
｢……ごめんなさい｣
と小さく呟いた。
｢敦君も立派になったねぇ｣
太宰さんが感慨深げにそう云った。
･
｢それで｣
｢？｣
｢こいつの異能力は何なのだ、太宰｣
｢美人さんをこいつ呼ばわりは非道いよ国木田君｣
｢善いからさっさと話せ｣
｢早くしてよ。僕状況も聞いてないんだけど｣
｢国木田君が改めない限り云いません｣
｢…………Aの異能力は何なのだ｣
｢いきなり呼び捨てなんて大胆だね｣
｢名字を知らないからだ！｣
国木田さんの額に青筋が浮き始めたので、太宰さんは渋々口を開いた。
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梓(プロフ) - 二つ結びの人さん» ありがとうございます…！励みになります！ (2018年3月31日 10時) (
レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
二つ結びの人(プロフ) - こんばんは！！とっっても面白いです！！！この先が凄く気になります！これからも頑張ってください！！！ (2018年3月28日 0時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - 碧灯さん» 返信遅れてすみません…！そうです！住野よるさんの｢よるのばけもの｣をモデルにしています (2018年3月23日 22時) (レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
碧灯(プロフ) - 初コメ失礼します！ 質問なのですが、主人公の名前と異能力って 住野よる さんをモデルにしていらっしゃいますか？ (2018年3月16日 19時) (レス) id: 391be2aaba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梓 | 作成日時：2017年8月13日 12時
