第二六話 捕虜 ページ26
「……こいつはポートマフィアなのか」
「確定じゃあ無いけれど、恐らくそうだろうね。芥川君のあの態度からすると」
パーカーの子を気絶させた後。
案の定芥川君達と乱闘になったが、此方は手練れで2人だ。
樋口さんは気絶させ、芥川君は気を失わせるまでは行かなかったが、消耗しきって膝を付いていた。
其の時、私がパーカーの子を捕虜として持って帰ろうと提案した。
彼女には聞きたい事が山程ある。
それに、敦君が被害を受けたのだから其の権利はあるのだ。
そして件の彼女は、私の背中で気を失っている。
……目を覚まして異能力を発動されても困るからと、私が背負う事になった。
因みに彼のまま同じく気を失ってしまった敦君は、国木田君の背中の上だ。
命に別状は無いようだけれど、帰ったらまぁ与謝野女医コースだろう。
「……で、国木田君何時から見てたの?」
「はっきり見えたのは敦が倒れた瞬間からだ。……しかし状況から考えて、そいつの所意なのだろう」
「嗚呼。一瞬の事だったけれど、あれは恐らく異能力だと思うんだよねぇ。身体には直接触れない
「……どんな異能力なのか見当が付いているのか?」
「大体はね。探偵社に戻ったら社員も含めて説明するよ」
・
「只今戻りました」
「お帰りなさい……ッて」
国木田君の帰社の挨拶に此方を向いた谷崎君が、目を見開く。
「……どうしたんです? 其の子」
其の言葉に、他の社員達も一斉に此方を向いた。
……重要な人物が居ない気がするけど。
「……乱歩さんは?」
「軍警の助ッ人に行ってますよ!」
……此れは説明が面倒臭そうだ。
「で、其の子って……」
「…………こいつは、捕虜だ」
「……どういう事なンだい。……それに、敦は―――」
「まァ、詳しい事は後で説明します。……其れより与謝野女医、医務室貸してくれませんか? 捕虜用の寝台壊れてて」
「嗚呼、善いけど……其の子、暴走なンてしないだろうね」
「私が付いておくので大丈夫ですよ」
「……敦、大丈夫なの」
「大丈夫だよ、鏡花ちゃん。一寸気を失ってるだけだから」
「……善かった」
鏡花ちゃんはほっとした様に微笑んだ。
78人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梓(プロフ) - 二つ結びの人さん» ありがとうございます…!励みになります! (2018年3月31日 10時) (レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
二つ結びの人(プロフ) - こんばんは!!とっっても面白いです!!!この先が凄く気になります!これからも頑張ってください!!! (2018年3月28日 0時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - 碧灯さん» 返信遅れてすみません…!そうです!住野よるさんの「よるのばけもの」をモデルにしています (2018年3月23日 22時) (レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
碧灯(プロフ) - 初コメ失礼します! 質問なのですが、主人公の名前と異能力って 住野よる さんをモデルにしていらっしゃいますか? (2018年3月16日 19時) (レス) id: 391be2aaba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:梓 | 作成日時:2017年8月13日 12時