検索窓
今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:24,077 hit

第二五話 暗転前 ページ25

今回の仕事は、とある密入国者を捕らえる事。

只の密入国者なら軍警に任せるのだがどうやら異能力者らしく、探偵社に仕事が回って来た。


私と敦君で迅速に捕らえる手筈だったが、相手は中々厄介な異能力で、思いの外時間が掛かっていた。

そして、やっと相手の体力に限界が見え始めた時。



横から、黒い閃光が相手の喉を掻き切った。



そちらを見ると芥川君が居て。

……まぁ、今日芥川君が此処に来る事は知っていた。敦君と出会わせたくてわざと黙っていたのだけれど。


予想通り、敦君は激昂し殴り掛かろうとして、芥川君は唯一の逃げ道である入り口から外へ飛び出した。




予想外は此処からだ。





1週間前にポートマフィアを探った時には、今回は芥川君の単独任務と云う事だった筈だ。


しかし。



廃屋の外には情報には無かった2人の姿があって。


1人は知っているから良いものの、問題はもう1人だ。


……灰色のパーカーを羽織った、華奢な少女。

顔付きは少女と云う言葉が似合わない程大人びているのだが、耳が付いたフードのパーカーが幼さを醸し出し、其れを打ち消していた。


……最近新しくマフィアに入ったのだろうか?

こんな事になるのなら、怠らずに此の数日を探っておくべきだったと思わず舌を打った。



……様子を見るに、芥川君は彼の子にご執心らしい。


「敦君」

声を掛けると、敦君が此方に顔を向けた。

「パーカーの子の実力が判らない内は、手を出しては危険だ。もう1人の、樋口さんの方を捕らえてはくれないかい。芥川君も何だかんだ大切にしてる部下だからね、此方の条件を呑んでくれるはずだ」

敦君は一瞬目を見開き、そして決心した様に頷いた。



……しかし、私は又其処で自分の失態を悔やむ事になる。



今まで何も行動を起こさなかったパーカーの子が、敦君を止めに走り出したのだ。

此の展開を予想していなかった訳では無い。しかし、敦君には到底追い付け無いだろうと踏んでいた。


だが。

……速い。敦君の方が距離が長い事を差し引いても速く、難なく追い付いてしまう。


そして、彼女が敦君に手を伸ばした瞬間。









敦君が、呻きながら地面に崩れ落ちた。


……何が起こったのか、一瞬判らなかった。


しかし当の本人も顔を青くし、敦君を見て震えている。





辺りに奇妙な沈黙が落ち、其れを破ったのは私が携帯で呼んでいた国木田君だった。


そして私が目配せをすると、国木田君は直ちに彼女に手刀を叩き込んだ。

第二六話 捕虜→←第二四話 暗転



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
78人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 二つ結びの人さん» ありがとうございます…!励みになります! (2018年3月31日 10時) (レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
二つ結びの人(プロフ) - こんばんは!!とっっても面白いです!!!この先が凄く気になります!これからも頑張ってください!!! (2018年3月28日 0時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 碧灯さん» 返信遅れてすみません…!そうです!住野よるさんの「よるのばけもの」をモデルにしています (2018年3月23日 22時) (レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
碧灯(プロフ) - 初コメ失礼します! 質問なのですが、主人公の名前と異能力って 住野よる さんをモデルにしていらっしゃいますか? (2018年3月16日 19時) (レス) id: 391be2aaba (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2017年8月13日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。