第十六話 マフィア ページ16
「……ありがとう、ございます」
……まただ。中也さんの優しさに、私は心を撃たれてる。
マフィアは、悪は、嫌なのに、中也さんの拳銃の練習に付き合ったりして……という思いも持っていたはずだ。
しかし最初ほど、マフィア=悪という等式は頭の中で成り立たなかった。
………………まさか、私はマフィアに愛着が湧いてきている?
「おう」
中也さんが満足げに笑った。
「俺拳銃は苦手でな……素手で殴る方が早ェし。首領に拳銃も出来た方が善いって云われてたんだけど、誰も練習付き合ってくれなかったンだよ」
……そりゃあ、五大幹部の練習に付き合うのは、ちょっと勇気が……
「A。……付き合ってくれて、ありがとな」
そう云って中也さんはまた笑う。
「……いえ」
……マフィアは、冷酷無比だと思っていた。いや、法に触れる行為を挙げたら切りがないんだから、実際冷酷無比だろう。
でも。
……こんな人の温かさがあるなんて、知らなかった。
はたから見たら、たかがピン3本や言葉くらいで、と思われるかもしれない。それも拳銃の練習があったから起きた事だし。
でも、私には十分だった。
「じゃあ、次は体術だな。いけるか?」
「……はい。ご指導よろしくお願いしますね」
これから、マフィアに居る事にも疑問を抱かなくなるのだろうか。
…………私は、自分の気持ちがよく判らなかった。
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梓(プロフ) - 二つ結びの人さん» ありがとうございます…!励みになります! (2018年3月31日 10時) (レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
二つ結びの人(プロフ) - こんばんは!!とっっても面白いです!!!この先が凄く気になります!これからも頑張ってください!!! (2018年3月28日 0時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - 碧灯さん» 返信遅れてすみません…!そうです!住野よるさんの「よるのばけもの」をモデルにしています (2018年3月23日 22時) (レス) id: 72c3b0ba9c (このIDを非表示/違反報告)
碧灯(プロフ) - 初コメ失礼します! 質問なのですが、主人公の名前と異能力って 住野よる さんをモデルにしていらっしゃいますか? (2018年3月16日 19時) (レス) id: 391be2aaba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 | 作成日時:2017年8月13日 12時